研究課題/領域番号 |
20K16607
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52020:神経内科学関連
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
山口 剛史 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助教 (50726510)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 脈絡叢 / 脳脊髄液 / 概日時計 / 概日リズム / 上皮細胞 / 視交叉上核 / 松果体 |
研究開始時の研究の概要 |
突発性正常圧水頭症でみられる脳脊髄液の過剰な貯留が、認知症をきたす原因の一つとして知られている。一方、認知症が進むと、日常生活での基本的な行動(睡眠・覚醒など)を制御する体内のリズム(概日リズム)に歪みが生じる。我々は“脳脊髄液産出の場である脈絡叢の上皮細胞に概日時計があること”、“視交叉上核、脈絡叢、松果体それぞれが自律的に異なる周期のリズムを発振すること”を明らかにした。 本研究では、概日リズム破綻によって脳内へ脳脊髄液が過剰に貯留する可能性を想定して①脈絡叢の脳脊髄液産出に関連する遺伝子発現の日内変動について、②共培養により視交叉上核、脈絡叢、松果体間の相互作用についての検討を計画する。
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研究成果の概要 |
認知症をきたす疾患の一つである突発性正常圧水頭症では脳脊髄液の過剰な貯留がみられる。この過剰な貯留が脈絡叢での概日リズムの破綻からもたらされると仮定して、脈絡叢からの脳脊髄液の産出に関連する遺伝子の日内変動について検討した。 脳脊髄液産生に概日リズムをもたらすと仮定した候補因子のうち、Glut1 mRNAの発現のみが日内変動を示した。他の因子では有意な日内変動は認められなかったが、いくつかの因子(AQP1、NKCC1、Claudin2 )においては、約6時間周期での発現変動が認められた。一方で、AQP1タンパク質、Claudin2タンパク質の第4脳室脈絡叢での発現には有意な日内変動が示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
睡眠障害の患者が認知症の最も多い原因疾患であるアルツハイマー病(AD)を発症しやすい点から、概日リズムの乱れがADと関連していると考えられる。近年、AD予防のメカニズムとして脳脊髄液の環流によるアミロイドβの洗い流しが注目を集めている。休眠期に拡張される間質腔に脳脊髄液を押し流す力の変動が概日時計によって制御され、脳内でのアミロイドβの排除が促進されると考えている。脳脊髄液環流に対する概日時計の制御機構の詳細を解明することは、脳内からの老廃物除去の障害がもたらす様々な疾患への予防に対する時間医学への応用に繋がることを期待している。
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