研究課題
若手研究
管状凝集体ミオパチー(Tubular aggregate myopathy: TAM)は、筋病理学的に筋線維内にTubular aggregatesと呼ばれる筋小胞体由来の異常構造物が蓄積し、筋力低下を呈する遺伝性の筋疾患である。これまでSTIM1、ORAI1遺伝子がTAMの原因遺伝子として報告されているが、未だに原因が不明な患者が多数存在する。私は、TAMの1家系4例の患者に全エクソーム解析を施行し、TAMの原因遺伝子として報告のないATP1A2遺伝子に 新規バリアントを患者全例に見出した。本研究では、上記バリアントの病原性を明らかにするため、その変異機能を評価することを目的とする。
管状凝集体ミオパチー(Tubular aggregate myopathy: TAM)は、筋病理学的に筋線維内にTubular aggregates (TAs)と呼ばれる筋小胞体由来のtube状の異常構造物が蓄積し、筋力低下を呈する遺伝性の筋疾患である。これまでに細胞内Ca2+調節に関わるSTIM1、ORAI1遺伝子がTAMの原因遺伝子として報告されているが、未だに原因が不明な患者が多数存在する。私は、TAMの1家系4例の患者に全エクソーム解析を施行し、これまでTAMの原因遺伝子として報告のない ATP1A2遺伝子に 新規バリアントc.2411T>C (p.I804T)を患者全例に見出した。当該年度はATP1A2のバリアントを有する症例と既知のSTIM1やORAI1遺伝子異常を持つ患者群とで詳細な臨床病理学的な解析を行った。また免疫染色や電子顕微鏡を用いて染色性や超微細構造の比較を行った。当センターで原因遺伝子の同定されたATP1A2変異を持つ患者1家系4例、ORAI1変異を有する患者6家系9例、STIM1変異を有する患者5家系6例の臨床病理学的検討を行った。発症年齢はATP1A2変異を持つ4例で平均14歳(3 - 40歳)、ORAI1変異を持つ9例で平均18歳(2 - 60歳)、STIM1変異を持つ6例で18.4歳(2 - 44歳)であった。ATP1A2変異を有する患者の4例中3例で、STIM1変異を有する患者では6例中3例で近位筋優位の筋力低下を認めた。小胞体膜蛋白質への免疫染色では、ATP1A2変異を有する患者のTAsもSTIM1やORAI1によって引き起こされるTAs同様の染色性を示した。電子顕微鏡による微細構造解析でもATP1A2変異の患者にも既存のTAMを来す疾患と同じように筋小胞体由来のtube状の異常構造物の蓄積を認めた。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件)
Journal of Neuropathology & Experimental Neurology
巻: 79 号: 12 ページ: 1370-1375
10.1093/jnen/nlaa104