研究課題/領域番号 |
20K16661
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター(臨床研究部) |
研究代表者 |
福嶋 翔 独立行政法人国立病院機構肥前精神医療センター(臨床研究部), 臨床研究部, 医師 (00727000)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 扁桃体 / 尾状核 / 楔前部 / アルコール使用障害 / 脳機能画像 / 視覚刺激課題 / 刺激動画作成 / 脳機能画像研究 / 重症度による視覚刺激反応の違い / 予後調査 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、断酒困難な患者や節酒困難な患者の治療早期における客観的なバイオマーカーの解明を試みることである。 健常者50人、軽症~中等症AUDの被験者50人、重症AUDの入院患者50人(計150人)を研究対象者にする。3系統の刺激動画(自然の動画、ノンアルコール飲料のCM動画、アルコール飲料のCM動画)の視覚刺激課題を提示し高解像度MRIを用いて脳機能を測定する。解析を進め重症度ごとの脳機能の変化を明確にする。 さらに、軽症~中等症AUD患者、重症AUD患者を対象に前向きの追跡調査を行う。研究開始時の脳機能画像を2群間でそれぞれ比較することで、患者の脳機能が治療結果に与える影響を検討する。
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研究成果の概要 |
現在までアルコール使用障害(Alcohol Use Disorder:AUD)重症者17人、中等症AUD者3人、健常者12人を対象に撮像を行なった。重症AUD者と健常者の2群で脳の反応を比較した。 ①扁桃体、②尾状核、③楔前部をそれぞれ関心領域とし集団解析を行うと、AUD患者のBOLD反応は健常者と比較して、 ①ノンアルコールビールの動画に対して有意に上昇(p=0.034)②オレンジジュースの動画に対して有意に低下(p=0.022)③ノンアルコールビールの動画に対して有意に上昇(p=0.027)などの結果が得られた。扁桃体、尾状核、楔前部のあるネットワークで何らかの障害があることが考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
改めて、AUD重症患者は、正常と比較して脳機能が異なることが示された。また、扁桃体、尾状核、楔前部の部位の反応が二群間で有意差を認めたが、扁桃体はアルコールのストレス緩和作用の根底にある神経基質ではないかという先行研究もあり、AUD重症者は高い不安と過剰な飲酒行動を維持していることを示唆しているかもしれない。 AUD重症患者群は、アルコール飲料動画だけでなくノンアルコールビール動画に対しても脳機能画像上、活動が高まっていた。臨床的にもAUD患者はノンアルコールビールで飲酒欲求が高まることも珍しくないが、今回の研究結果はそれを示唆しているのかもしれない。
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