研究課題/領域番号 |
20K16664
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小田 靖典 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (50770583)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ドパミン過感受性精神病 / 遅発性ジスキネジア / 神経損傷 / 抗精神病薬 / HSP70 / GLT1 / GS / ES / グリア / 電気けいれん療法 |
研究開始時の研究の概要 |
近年になり統合失調症の死後脳研究でミクログリアの活性化やオリゴデンドログリアの減少などグリアの変異が数多く指摘されており、グリアへの関心が高まっている。しかしながら、基礎研究では抗精神病薬単独でグリアの発現に影響するとの報告が数多くなされており、これら死後脳の変異が疾病によるものなのか抗精神病薬長期内服による副次的な変化なのかは依然として不明である。本研究課題は、先行研究から臨床的至適用量と過剰遮断を引き起こす高用量では、抗精神病薬がグリアに与える影響は異なるのではないかと推測し、それを評価すること、更にはESがグリアの変異を改善するのではないかと仮説を立て、それらを検証することを主眼とする。
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研究成果の概要 |
統合失調症の治療には主に抗精神病薬が用いられるが、一方で様々な副作用も認められる。なかでもドパミン過感受性精神病は治療抵抗性につながる重篤な副作用と考えられる。 今回我々はドパミン過感受性状態のモデルラットを作成し、抗精神病薬が各脳部位の神経細胞に与える影響、また神経細胞を保護しているグリア細胞に与える影響を調べた。その結果、ドパミン過感受性状態では過感受性を形成していないラットと比較して、線条体および海馬のCA3領域に神経損傷を来たしていることが判明した。これらがドパミン過感受性精神病の主症状の一つである遅発性ジスキネジアの形成に関与してることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ドパミン過感受性精神病は臨床家が治療に難渋している重篤な副作用の一つであり、その発症機序を知ることは適切な治療を考える上で非常に大切である。 ドパミン過感受性精神病の主症状の一つに遅発性ジスキネジアがあるが、遅発性ジスキネジアは統合失調症の患者さんに限らず、臨床で広く出会う治療抵抗性の副作用である。今回の我々の研究で遅発性ジスキネジアの解明に一歩近づいたと考えられる。また、今回の研究成果をもとに、今後は電気けいれん療法がこれらの神経損傷に与える影響を調べていく予定である。
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