研究課題/領域番号 |
20K16669
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
末廣 聖 大阪大学, 医学系研究科精神医学, 助教 (30866611)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 孤独 / 孤立 / アルツハイマー病 / 軽度認知障害 / 認知症 / 楔前部 / 局所脳血流 / 独居 / 高齢者 / 認知機能 / 脳機能 / ADL / SPM / 社会的孤立 / 社会機能 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、独居で生活している認知症者や軽度認知障害者の数が増加している一方で、軽度認知障害者では独居であることが認知症への進行を早める可能性があることがわかってきている。しかし、独居という生活環境がどのような認知機能をより増悪させやすく、神経画像には影響を及ぼしうるのか、ということはわかっていない。 本研究では独居の軽度認知障害者を経時的に観察し、認知機能や神経画像などの脳機能がどのように変化するか、そして独居の生活環境の中でいかなる要因が認知障害の増悪に寄与しているかを解明することが目的である。 本研究の成果から、軽度認知障害者の生活指導を考える上で重要な知見が得られることが期待される。
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研究成果の概要 |
65歳以上のアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害または軽度認知症の患者を対象とし、孤独群と非孤独群に分け臨床症状と局所脳血流(rCBF)を比較した。孤独群(n=20)と非孤独群(n=23)で、年齢、性別、独居率、MMSEに有意差はなかったが、孤独群は非孤独群より抑うつと近時記憶障害が有意に強かった。SPMの検討で、左楔前部のrCBFが非孤独群で孤独群より有意に低下見られた(p=0.010, FWE corrected)。 本研究の結果から、AD患者において孤独感は抑うつや記憶障害を増悪させる可能性が考えられた。また、孤独を感じるにはある程度楔前部の血流が保たれている必要があると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年独居などの社会的孤立や孤独感が高齢者の脳機能に影響することがわかりつつあるが、多くは健常高齢者に関する研究で、軽度認知障害や認知症者における孤立や孤独の影響や神経画像的検討はほとんどなかった。今回の研究で、軽度認知障害や軽度認知症患者においても孤独感が認知機能の障害に影響しうることがわかった。 また、健常者対象の研究で、楔前部を含むDefault Mode Networkの結合性が、孤立を感じている例で上昇していると報告があるが、通常楔前部の血流が低下するADにおいても、孤独を感じるにはある程度その部位の血流が保たれている必要がある、という可能性が示された。
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