研究課題/領域番号 |
20K16676
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
岡安 寛明 獨協医科大学, 医学部, 講師 (80459619)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 心拍変動 / Deceleration capacity / 心臓死 / 統合失調症 / 気分障害 / QT間隔 / 抗精神病薬 / 抗うつ薬 / 心臓突然死 / 心電図 / 瞬時心拍変動 / 向精神薬 / 突然死 |
研究開始時の研究の概要 |
統合失調症や気分障害の治療に用いられる、抗精神病薬や抗うつ薬などの治療を受けている患者には、心臓突然死の割合が高いことから、突然死を予防することは、臨床上重要な課題である。我々は、心臓予備能を、より反映するとされる心拍変動や瞬時心拍変動を測定し、統合失調症や気分障害患者の向精神薬による心機能への影響を検討する。また、これまで我々が検討してきたQT間隔、QT dispersion、T peak-to-end intervalなどの心電図から得た情報との結果を含め、総合的に評価することで、心臓突然死の危険性の予測因子を見出すことを目指す。
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研究実績の概要 |
文書にて同意を得られた統合失調症患者138名(男性75名、年齢53.9±13.9)に対して、心拍センサ(my Beat ウェアラブル心拍センサ/WHS-1:ユニオンツール株式会社)を用いて10分間心拍を測定し、RRI Analyzer(同社)を用いて、心機能の予備能をより強く反映するとされる瞬時心拍変動の減速能(Deceleration capacity:DC)を可能な限り測定条件をあわせて計測した。DCの平均値は4.44 (±2.69)msであった。また、得られた結果と患者の年齢、性別、Body Mass Index、QT間隔、内服内容との関連を重回帰分析で検討した。年齢(p<0.001)と抗精神病薬の投与(p<0.001)が用量依存性にDCを減少することが示され、個々の抗精神病薬では、クロルプロマジン(p<0.01)、オランザピン(p<0.001)、ゾテピン(p<0.05)、クロザピン(p<0.001)が用量依存性にDCを減少させることが確認された。さらにこれまで致死的不整脈の予測因子として用いられていたQT間隔とは関連を認めないことがわかり、DCは心機能を評価するうえで、QT間隔とは異なった独自の因子として用いられる可能性があることが示唆された。また、文書にて同意を得られた健常者からも同様の手法でDCを測定し、年齢、性別を調整した統合失調症患者86名と健常者86名でDCを比較検討し、抗精神病薬内服中の統合失調症患者は心機能の予備能が低下しやすいことが示された。この結果を英語論文としてまとめ、General Hospital Psychiatryに掲載された(2023.3)。現在、抗うつ薬など内服している気分障害患者のDCを測定することも開始しており、これまでに文書にて同意を得られた気分障害患者90名から、同様の手法でDCの測定を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに130名以上の統合失調症患者から、Deceleration capacity (DC)を測定して、抗精神病薬や心電図QT間隔との関連を検討し、また、80名以上の健常者からもDCを測定し、統合失調症患者のDC値と比較検討し、その結果を英語論文として報告することができた。さらに90名の気分障害患者からもDCを測定し、経過を学会で報告していることから、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、Deceleration capacity (DC)測定を継続し、症例数を増やし、向精神薬の内服量や、QT間隔との関連の有無について比較検討していく。また、得られた結果を英語論文にまとめ、評価の高い英語論文雑誌への投稿を目指す。
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