研究課題/領域番号 |
20K16677
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52030:精神神経科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
三村 悠 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教(専修医)(臨床研究) (10868011)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 経頭蓋磁気刺激法 / TMS-EEG / アルツハイマー病 / 軽度認知障害 / 長間隔運動皮質内抑制 / GABA / アルツハイマー型認知症 / 皮質興奮抑制バランス / 神経生理 / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
認知症の中で最も多いのは記憶障害を主な症状とするアルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease: AD)である。その早期発見において軽度の記憶力低下を認めるものの日常生活は自立している健忘型軽度認知障害(amnestic mild cognitive impairment: aMCI)の概念が確立されている。本研究ではADとaMCI、さらに健康な人との間で磁気刺激とその刺激に対する脳波変化がどのように異なるかを調べていく。目的はADとaMCIの診断精度をあげること、さらにaMCIからADへの進行を予防する治療の開発へつなげることが目標である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は経頭蓋磁気刺激法(TMS)と高精度脳波(EEG)計測装置を組み合わせた、刺激入力と神経生理反応を同時に計測できる実験系(TMS-EEG同時計測法)を用いて、アルツハイマー病の背外側前頭前野(DLPFC)における、脳皮質の興奮抑制バランスを評価し、病態の解明をすることであった。
2021年度までの研究において、アルツハイマー病病理が想定される軽度認知障害(MCI)18名、高齢健常14名をリクルートしした。MCI群は男性15名、女性3名、年齢平均70.8±7.9歳、高齢健常群は男性12名、女性2名、年齢平均69.7±7.5歳であった。頭部MRI検査を施行し、ナビゲーションシステムを用いてDLPFCを同定し、TMS-EEG検査を行った。別日に認知機能検査を施行した。 MCI群は認知機能検査において、注意障害、記憶障害を認めた。DLPFCに対して刺激間隔100ミリ秒の二連発刺激と単発刺激をそれぞれ80回施行し、得られた磁気刺激誘発脳波を比較した。MCI群においては単発刺激時に刺激後100ミリ秒後の陰性波が高齢健常に比して低振幅であった。さらに二連発刺激時の刺激後100ミリ秒後の陰性波は反対にMCI群において高齢健常群に比して高振幅であった。刺激間隔100ミリ秒の二連発刺激では脳皮質に長間隔運動皮質内抑制と呼ばれるGABAを介した神経抑制が誘導されることがしられている。健常高齢者では単発及び二連発刺激後に正常な磁気刺激誘発脳波が観察された一方で軽度認知障害群で観察されないことが確認された。軽度認知障害のDLPFCにおいて皮質興奮抑制バランスが破綻しており、GABA機能が関与していることが示唆された。
以上の結果からTMS-EEG法が軽度認知障害の興奮抑制バランスのバイオマーカーとなる可能性が示された。今後は症状相関についてさらに解析を進めていく。
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