研究課題/領域番号 |
20K16686
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
芳賀 喜裕 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (10771488)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 水晶体被ばく / 放射線防護具 / 気管支鏡検査 / 放射線被ばく防護 / 放射線防護 / 気管支鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、予備実験で被ばくが多かった気管支鏡検査に着目して、医療従事者の水晶体被ばくを解明する。正確な水晶体被ばくを測定するために、国際放射線防護委員会(ICRP)が推奨する3mm線量当量が測定できる新型水晶体線量計を使用して評価する。同時に、従来の個人線量計でも評価し比較することで、被ばく線量管理の見直しを図る。また、最も被ばくが多いとされる心臓血管造影検査・治療と気管支鏡検査の水晶体被ばくを比較し、放射線検査の違いによる被ばく傾向の相違も検討する。さらに、気管支鏡検査に従事する医療従事者の放射線防護方法を多角的に再検討し、効果的な放射線防護具の試作を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、新型水晶体線量計を用いて気管支鏡検査に従事する医療従事者の水晶体被ばくの解明と、放射線防護方法を再検討し効果的な放射線防護具の試作を目指す。当該年度は、水晶体被ばくを再評価し、加えて被ばく関連危険因子の関係をついても長期的に評価した。法令では、1年間で50mSvもしくは5年間で100mSvとされている水晶体被ばくが、本研究によって10mSv程度(15人の医師平均)となり、年間限度の半分程度の被ばく線量と判明した。この値は、被ばく線量が高いとされている心臓カテーテル治療に従事する医師の水晶体被ばくに匹敵する量である(Haga Y, et al. Sci Rep. 2017, 7(569))。最も被ばく線量が高かった医師は40mSv程度であり、予備実験(Haga Y, et al. JRR. 2020, 61(5): 691-696)で評価した30mSvよりも多く、1年間の水晶体被ばく線量限度(50mSv)に迫る値である。これより、気管支鏡検査での医師の水晶体被ばく防護の重要性が示された。加えて、水晶体被ばく線量は、手技件数が最も強く相関を示し、次いで空気カーマ、透視時間の順に相関を示す結果となった。被ばく関連危険因子の中で撮影回数が最も相関が弱い結果となった。また、試作した鉛当量0.175mmの放射線防護具を、臨床の気管支鏡に近い状況下で模擬ファントムシミュレーションを詳細に評価した。医師が患者の頭方向で手技を行うことを想定し、患者方向に顔が向けた時を0度として30、45、60、90度時計回りに両水晶体を含む頭部13箇所について蛍光ガラス線量計を用いて防護効果判定を行った。水晶体は、左側で80%以上、右側で40%以上の防護効果を認めた。防護具が覆われている頭部側面中間部から前面は、一定の防護効果を確認できた。これより、試作防護具の追加特許出願を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当該年度は、前年度の測定した水晶体被ばくの測定結果を再確認したところ、最新知見が期待できたため追加測定を行ったため、やや遅れが生じた。評価は完了したので、現在、論文化に向けて執筆中である。また、試作防護具は、追加測定の結果をもとに追加特許申請を行った。しかし、防護具の市販化に向けた製品改良が多少遅れている。最終年度は、本研究の実績を論文や学会等で発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、当該年度に解析した気管支鏡検査に従事する医療従事者の水晶体被ばく結果と被ばく関連危険因子の関係に新知見を確認できたため、論文や学会等で発表を予定している。また、試作の防護具に関しては、水晶体を含む頭部全体の評価を拡大して防護効果を測定した。水晶体の放射線防護をコンセプトに開発した防護具が、水晶体のみならず前頭部領域の防護も可能との結果が確認できたため、最終年度は、この結果をもとに論文や学会等で発表を予定している。加えて、当該年度に引き続き、市販に向けて防護具の製品改良を行なっていく予定である。
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