研究課題/領域番号 |
20K16692
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柳下 淳 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任助教 (20626676)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 核医学 / 多核種 / in vivoイメージング / SPECT / マルチプローブ / センチネルリンパ節 / 分子イメージング / イメージング / CdTe半導体検出器 |
研究開始時の研究の概要 |
シンチレーターで検出する現行の放射線生体イメージングではエネルギー(波長)分解能が低く、in vitroの蛍光イメージングで行われるマルチプローブ・イメージングは困難であり、一般に空間分解能も低いのが現状である。 我々はカドミウム・テルライド(CdTe)半導体検出器を用いることで、高空間分解能および高エネルギー分解能を有する新しいSPECTを開発した。この機器を用いて多核種を用いた場合にそれぞれの核種を明瞭に分離すると同時に定量するイメージング技術を確立する。また、高空間分解能も活かし、マウスを用いてがんのリンパ節微小転移層を検出するためのイメージング方法を検証し確立を目指す。
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研究実績の概要 |
主に次の2種の動物実験を行った。①3核種・3トレーサーによる正常マウスのマルチトレーサーイメージング、②2核種・2トレーサーによるがん微小リンパ節転移。 ①ではリンパ節のトレーサーとしてIn-111標識のデンドリマー、もうひとつのリンパ節トレーサーとしてTc-99mフィチン酸、さらに3つ目のトレーサーとして甲状腺に集積するI-125-NaIを用いてマウスの下顎リンパ節、耳下リンパ節、甲状腺(1-2 mm大)をそれぞれのトレーサーで同時にイメージングする実験を行った。散乱線や複数核種併用に起因するスペクトル波形のオーバーラップとクロストークを補正する解析手法を開発した。核種固有のエネルギーを有するX線を、強度を自由変数としたガウシアン関数(Gi(X), i=1,2,…)とし、その合計(Fi(X) =ΣGi(x))を実測値にフィッティングさせることで自由変数を決定した。これによりクロストークや散乱線などにより発生していた画像ノイズを取り除くことに成功するとともに、定量性を向上させた。CT画像と合わせることで、3種のトレーサーによるin vivo画像が得られた。現在論文投稿中である。 ②I-125のレポーター遺伝子であるNISを導入した癌細胞を用いてリンパ節微小転移モデルマウスを作成した。腫瘍のトレーサーとしてI-125を用い、リンパ流路のトレーサーとしてTcフィチン酸を用いてイメージングを行った。①で開発した手法を用いてイメージングすると1mm以下の微少転移巣や1mm以下のリンパ流路が詳細にイメージングできていた。同マウスのSPECTイメージング領域の組織を取り出し、H.E.染色および、NIS/リンパ組織に対する蛍光免疫組織化学法による組織画像との比較検討で画像の整合性を評価できた。現在論文準備中である。 さらに、当初計画していた以外の計画も追加で実行した(進捗状況参照)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要で示したとおり、当初計画していた事項は全て達成することができた。本研究は高空間分解能SPECTを用いたマルチプローブでの分子イメージングの開発が主目的であったが、スピンアウトとして、低分解能であるが、マウス全体の薬物動態を追跡可能なプラナー・イメージャーを開発し、それを用いて異なる核種で標識した複数の放射性薬剤の薬物動態を追跡可能なシステムを開発した。現在、論文投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究でのリンパ節転移モデルではマウスを使用しており、腫瘍細胞はI-125のレポーター遺伝子を導入している。今後はヒトを対象とする研究を進めるために、腫瘍検出プローブを開発すること、ヒト用CdTe-SPECTを開発することを検討している。
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