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強T2強調3D-FLAIR画像を用いた髄膜リンパ管の評価および神経疾患の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K16697
研究種目

若手研究

配分区分基金
審査区分 小区分52040:放射線科学関連
研究機関名古屋大学

研究代表者

中道 玲瑛  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00833667)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
キーワード髄膜リンパ管 / MRI / 磁気共鳴画像 / ガドリニウム造影剤 / Glymphatic system / 加齢 / 神経疾患 / 脳・神経
研究開始時の研究の概要

従来リンパ系は頭蓋内には存在しないものとされてきたが、近年髄膜にリンパ管が存在することが報告された。脳脊髄液から頭蓋外への物質や免疫細胞の輸送に大きな役割を果たしているとされ、様々な神経疾患との関連も報告されている。髄膜リンパ管をMRIで評価することが可能となれば、アルツハイマー病や多発性硬化症などの神経疾患の病態解明にも繋がると考えられる。本研究では髄膜リンパ管をMRIのheavily T2-weighted 3D-FLAIR (hT2-FL)画像を用いて描出可能とし、加齢や神経疾患などにおける髄膜リンパ管の役割を明らかにすることにより、脳神経医学のさらなる発展を目指す。

研究実績の概要

髄膜リンパ管は、頭蓋内から老廃物を排泄する経路として複数存在するPost-glymphatic clearance pathwaysの1つとされ、上矢状静脈洞の近傍などに存在することが報告されている。髄膜リンパ管をMRIで描出するため、強T2強調3D-FLAIR(hT2-FL)画像を含めた複数のシーケンスについてエコー時間や繰り返し時間等の撮像時パラメータの他、描出する対象に合わせた撮像範囲や解像度などを検討した。
近年アルツハイマー病などの神経疾患において、発症前の段階における評価によって発症予防に結びつけるようなバイオマーカーが求められるようになってきている。髄膜リンパ管の障害はアミロイドβタンパク質の脳実質への蓄積などに関わると考えられており、その他のバイオマーカーに先行して障害が生じると予想される。Post-glymphatic clearance pathwaysの1つである髄膜リンパ管の評価をMRIで非侵襲的に行うことができれば、アミロイドイメージングなどで確認できるよりも早期に病勢を検知できるバイオマーカーとして利用できる可能性がある。また、得られた画像所見から新たな概念に基づく神経疾患の発症機序解明や予防・治療薬の創薬研究の基礎となる可能性もある。
髄膜リンパ管の間接的描出の一環として、脳皮質静脈周囲へのガドリニウム造影剤の漏出に関連する上矢状静脈洞近傍の構造について検討し、造影剤漏出の程度とくも膜顆粒や橋静脈周囲の嚢胞構造の数との間に関連があることを示し、これを論文化した(Jpn J Radiol. 2021 Oct;39(10):927-937. doi: 10.1007/s11604-021-01137-1.)。この他にも上矢状静脈洞近傍の構造についてMRIを用いて評価し、年齢・性別及びその他の構造等との比較検討を行った論文が近々出版される予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

hT2-FL画像以外のシーケンスも含め、髄膜リンパ管を直接的に描出するためのMRI撮像法についての検討を進めているが、髄膜リンパ管のサイズが小さいこともあり、評価に必要なコントラストを得られるように描出することについては難航している。
近年、静脈洞周囲の硬膜組織であるParasagittal dural spaceが髄膜リンパ管と脳組織との間の脳脊髄液を介する分子交換を可能とする橋渡し空間として注目されており、このように髄膜リンパ管を周囲の構造や信号の変化などから間接的に評価することについても検討を進めている。これまでに上述の通り、脳皮質静脈周囲へのガドリニウム造影剤漏出の程度と、上矢状静脈洞近傍のくも膜顆粒や橋静脈周囲の嚢胞構造との関連について考察を行い、論文化に至っている(Jpn J Radiol. 2021 Oct;39(10):927-937. doi: 10.1007/s11604-021-01137-1.)。この論文は日本医学放射線学会 Japanese Journal of Radiology (JJR) 最優秀論文賞に選出された。この他にも、上矢状静脈洞近傍の構造についてMRIを用いて検討した論文が近々出版される予定である。

今後の研究の推進方策

髄膜リンパ管の直接的評価は難航しているが、hT2-FL画像以外のシーケンスを含め、シーケンスパラメータや撮像範囲の検討をさらに進める。
髄膜リンパ管の間接的評価として、Parasagittal dural spaceを含めた上矢状静脈洞近傍の構造についての検討をさらに進め、髄膜リンパ管の形態や機能に関連する画像所見を評価する。

報告書

(4件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 2021 実施状況報告書
  • 2020 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)

  • [雑誌論文] Interstitial Fluidopathy of the Central Nervous System: An Umbrella Term for Disorders with Impaired Neurofluid Dynamics2024

    • 著者名/発表者名
      Taoka Toshiaki、Ito Rintaro、Nakamichi Rei、Nakane Toshiki、Kawai Hisashi、Naganawa Shinji
    • 雑誌名

      Magnetic Resonance in Medical Sciences

      巻: 23 号: 1 ページ: 1-13

    • DOI

      10.2463/mrms.rev.2022-0012

    • ISSN
      1347-3182, 1880-2206
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書 2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Evaluation of alterations in interstitial fluid dynamics in cases of whole‐brain radiation using the diffusion‐weighted image analysis along the perivascular space method2023

    • 著者名/発表者名
      Taoka Toshiaki、Ito Rintaro、Nakamichi Rei、Nakane Toshiki、Kawamura Mariko、Ishihara Shunichi、Ichikawa Kazushige、Kawai Hisashi、Naganawa Shinji
    • 雑誌名

      NMR in Biomedicine

      巻: - 号: 7

    • DOI

      10.1002/nbm.5030

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Diffusion-weighted image analysis along the perivascular space (DWI?ALPS) for evaluating interstitial fluid status: age dependence in normal subjects2022

    • 著者名/発表者名
      Taoka Toshiaki、Ito Rintaro、Nakamichi Rei、Nakane Toshiki、Sakai Mayuko、Ichikawa Kazushige、Kawai Hisashi、Naganawa Shinji
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Radiology

      巻: 40 号: 9 ページ: 894-902

    • DOI

      10.1007/s11604-022-01275-0

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Magnetic resonance cisternography imaging findings related to the leakage of Gadolinium into the subarachnoid space2021

    • 著者名/発表者名
      Nakamichi Rei、Taoka Toshiaki、Kawai Hisashi、Yoshida Tadao、Sone Michihiko、Naganawa Shinji
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Radiology

      巻: 39 号: 10 ページ: 927-937

    • DOI

      10.1007/s11604-021-01137-1

    • NAID

      210000178112

    • 関連する報告書
      2021 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2020-04-28   更新日: 2024-12-25  

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