研究課題/領域番号 |
20K16720
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中井 雄大 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40785359)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 大腸癌肝転移 / MRI / Gd-EOB-DTPA / 生存予後 / 再発予後 / 脈管侵襲 / CT / 病理 / 予後予測 |
研究開始時の研究の概要 |
大腸癌の肝転移を切除された方を対象に、手術前のCT・MR画像と腫瘍による脈管侵襲・浸潤増殖形態・組織型などの病理学的所見との関連を評価します。さらに手術前の画像所見から患者の生命予後や腫瘍の再発率を予測可能か明らかにします。画像評価は視覚的評価に加えて、画像の測定値から特徴を抽出するテクスチャ解析と呼ばれる手法を用います。術前の正確な予後予測が可能となれば治療方法の決定や個々に患者に応じたオーダーメイド医療の発展に寄与すると考えられます。
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研究実績の概要 |
当該年度までに1編の論文を報告した(Radiology. 2020;297(3):584-594.)。これは肝特異性造影剤であるgadoxetic acidを用いた造影MRI(EOB-MRI)において、大腸癌肝転移周囲の肝実質の所見と切除後の長期予後との関連を評価したものである。具体的には肝転移末梢に、肝実質の早期濃染、gadoxetic acid取り込み低下、胆管拡張のいずれかが見られる場合に全生存期間が短縮し、また胆管拡張例では無再発生存期間が短いという結果を示した。また胆管拡張例では病理学的にも門脈侵襲および胆管侵襲を伴う率が高いことを示した。大腸癌肝転移においては、サイズや個数を除いた画像評価による予後予測の報告はほとんどなく、術前に患者の予後を予測できれば臨床的に意義が大きい。これは個々の患者に応じた治療法の選択にもつながると考えられる。Radiology誌は放射線科領域のtop journalであり、この臨床的意義が高く評価されたものと考えている。また共著者として同コホートのデータを提供し、病理学的に大腸癌転移の辺縁の発育形態(histological growth pattern)が患者の生存予後および再発予後の独立した予測因子であることを確認した(Hum Pathol. 2022;123:74-83.)。今後はこれを画像で予測可能かどうか検討を続ける予定である。 そのほか同じデータセットを用いて、MR画像のテクスチャ解析によって患者の予後を予測するという研究を行ったが、強い意義のある結果を得られず未報告の状態である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大腸癌肝転移においてCT・MR画像所見から組織学的性状および長期予後を予測するという目的に対して、肝特異性造影剤であるgadoxetic acidを用いたMR画像所見から一部病理所見と長期予後の予測が可能であるという論文を報告できた(Radiology. 2020;297(3):584-594.)。放射線科領域のtop journalに報告することができ、研究目的の根幹部分は達成できたと考えている。ただし、続報が出せておらずやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでにgadoxetic acidを用いた造影MR画像所見から大腸癌肝転移の術後再発予後および生存予後を予測しうることを示した。今後はこの研究をさらに深める方針として、①早期再発が予測される患者では実際にどこに腫瘍が再発してくるのか、②長期予後不良が予測される患者における術前化学療法の有用性、③化学療法後でも同様の評価方法が有用か、などの評価を進めていきたいと考えている。また大腸癌肝転移のhistological growth patternをgadoxetic acid造影MRIで予測できないか模索中である。
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