研究課題/領域番号 |
20K16748
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
樋本 祐紀 京都大学, 医学研究科, 助教 (30838991)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 希少疾患画像研究 / 多施設症例共有ネットワーク / 婦人科がん / 低悪性度内膜間質腫瘍 / 希少がん / MRI / 多施設共同研究 / 希少疾患の画像診断 / 低悪性度子宮内膜間質肉腫 / 子宮頸部胃型腺癌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的である希少疾患画像研究のための多施設間症例共有ネットワーク及びそのプラットフォーム構築のため、京都大学医学部附属病院、そしてその関連病院、他大学医学部附属病院、がんセンターと連携して「低悪性度内膜間質腫瘍と非典型的子宮筋腫とのMRIによる鑑別法の確立」、「子宮頸部胃型粘液性癌のstagingにおけるpitfall・再発リスク因子の検討」に取り組む。過程で生じた運用課題の整理により、過不足のない効率的ワークフロー確立、希少疾患画像診断研究のための症例収集・領域毎の専門家紹介・online meetingが可能な「仮想希少疾患画像研究センター」を作り、日本の希少疾患画像研究を推進する。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、婦人科希少がんを皮切りとした、画像診断領域臨床研究のための多施設間での症例共有ネットワーク及びプラットフォーム構築の礎を作ることである。 昨年度は、1つ目の研究課題である「低悪性度内膜間質肉腫と筋腫とのMRIを用いた鑑別法の確立」で収集した低悪性度内膜間質肉腫25例のMRIを用いた形態的分類を行い、その分類と臨床的pitfallとの関連性について、2022年腹部放射線学会でポスター発表を行った。同内容は臨床放射線に掲載される予定である。 2つ目の研究課題である「機械学習的手法を用いた子宮体癌術前リンパ節転移予測モデルの確立」については、京都大学医学部附属病院と国立がん研究センター中央病院との共同研究を総括した。本課題の目的は、臨床的に既に確立されたリスク因子を用いて、総当り法と交差検証とを掛け合わせることで、精度が高く堅牢かつ簡便なリンパ節転移予測ロジスティック回帰モデルを作成することである。検証の結果、領域リンパ節(骨盤内及び傍大動脈リンパ節)への転移をAUC 0.85で、傍大動脈リンパ節転移をAUC 0.86で予測可能であった。同内容を論文化し、現在英文雑誌に投稿中である。またRSNA 2022において、本研究の口演を行った。 また、昨年度に国立がん研究センター中央病院、大阪大学、信州大学の各放射線診断科代表者と共に結成した産科婦人科画像診断研究ネットワーク Gynecologic and Obstetric INvestigating Group in Radiological Sciences (GOING-RS)に、鳥取大学、琉球大学が新たに加わり、「子宮頸部胃型形質病変の画像診断の多施設共同研究」に現在取り組んでいる。その中で筆者は、子宮頸癌の希少な組織型である胃型腺癌の術前画像診断精度の研究を担当し、参加施設症例のデータ収集を終了した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定のとおり、1つ目の研究課題である、「低悪性度内膜間質腫瘍と筋腫とのMRIを用いた鑑別法の確立」について、計7施設の低悪性度内膜間質腫瘍25例、と2施設の非典型的な子宮筋腫42例とのMRIを比較することで、MRIによる感度の高い鑑別法(AUC 0.86 - 0.89、感度 0.95、特異度 0.67 - 0.69)を作成することができ、本研究結果をScientific reportsの2021年11巻に掲載することができた。また、低悪性度内膜間質腫瘍25例を用いた、MRIによる形態的分類、その分類と臨床的pitfallとの関連性について、2022年腹部放射線学会でポスター発表を行い、得られた知見の還元を行うことができた。 2つ目の研究課題である、「機械学習的手法を用いた子宮体癌術前リンパ節転移予測モデルの確立」については、京都大学医学部附属病院の症例で作成した予測モデルの国立がん研究センター中央病院の症例に適用しての検証で、既報を上回る精度を示すことができ、その内容の論文化を終了した。現在、英文雑誌に投稿中である。 また、上述の産科婦人科画像診断研究ネットワークGOING-RS全体で「子宮頸部胃型形質病変の画像診断の多施設共同研究」に取り組んでおり、その中の研究課題の一つである胃型腺癌研究を筆者は行い、参加施設分のデータセット作成を終え、データの解析を開始できる段階まで到達した。
|
今後の研究の推進方策 |
「低悪性度内膜間質肉腫と筋腫とのMRIを用いた鑑別法の確立」で収集した低悪性度内膜間質肉腫25例の解析から得られたMRIの知見については、2022年腹部放射線学会で発表した内容の臨床放射線への掲載、JSAWI 2023での講演、を通しての還元を予定している。 2つ目の課題である、「子宮体癌術前リンパ節転移予測モデルの作成」については、現在英文雑誌に投稿中であり、その掲載を目指す。 上述のGOING-RS全体で取り組む「子宮頸部胃型形質病変の画像診断の多施設共同研究」の中の、筆者が担当する胃型腺癌研究については、今後、全施設分のデータセットの解析、総括、論文投稿、学会を通じての知見の還元を目指す。
|