研究課題/領域番号 |
20K16756
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高瀬 裕樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (80866129)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 神経膠腫 / 自動化 / 計画者間差異 / auto-segmentation / 放射線治療 / CTVマージン / 深層学習 |
研究開始時の研究の概要 |
放射線治療は悪性神経膠腫の主な治療法の1つである。悪性神経膠腫は広がりやすい特徴があるため、画像で分かる腫瘍から大きくマージンを広げた範囲を標的として放射線治療が行われる。脳内は腫瘍が浸潤しにくい脳室などの構造が複雑に存在するため、マージンをどのように広げるか決定することは非常に難しく定まった方法がない。今後より標的に絞った放射線治療が行える時代が来る。それに向けより合理的で計画者間で誤差が少ないマージン付加モデルを考案した。本研究では深層学習を交えながら、モデルの安全性、有効性の検討および改良を行っていく。
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研究実績の概要 |
複数の計画者の間で、諸国の放射線腫瘍学会のガイドラインで記載されているような15㎜のマージンを付加してから解剖学的な境界を考慮して手動でトリミングする手法で定義したCTVを比較検討する研究を行った。計画者間でのCTVは全体としての一致度は良好で、差異は小さいという結果となった。しかしながら脳梁のような左右の脳実質を細い構造でつなぐよう橋渡しをする部位を超えた部分に注目すると、一致度は不良で計画者間の差異が大きいことが判明した。神経膠腫は発症時点で数cm以上の大きな浮腫を伴っていることが多く、橋渡し構造の近傍まで腫瘤が接近することも日常臨床でもしばしば経験される。本研究によって橋渡し部位の近傍における計画者間の差異を小さくすることが計画者間の放射線治療の不均一性を低減する可能性が示唆された。2021年8月にスペインマドリードで開催された欧州放射線腫瘍学会の学術発表会(ESTRO2021)にて上記研究結果の報告を行った。 また多段階の拡張を行う上ですべての解剖学的境界を定義する手法は手間が多く、放射線治療の計画時間を極端に増加させるため臨床使用を考える上では現実的ではない。そのためより簡便に多段階な領域拡張を行うアルゴリズムの作成に着手し、脳実質と数個の橋渡し構造の情報のみ自動で多段階に指定した距離の領域を拡張するシステムの開発に至った。このシステムを用いることで、小さい手間で多段階領域拡張を行うことができ、今後の複数計画者間の差異を低減するかどうかの研究を行うことが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19ウィルス流行に伴う臨床的、社会的な負担の増加のため下記の遅れが生じている。 多段階領域拡張法で作成したCTVをこれまでの既治療例に適応して実際の臨床で用いられたCTVとの比較を行い多段階領域拡張法の妥当性の検討が必要であるが、臨床情報を収集する段階へ移行できていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は本年度開発した低負担、短時間で多段階領域拡張法を実現するシステムを使用して、このシステムが複数計画者間の差異を低減するかどうか検討する。 また既治療例について、このシステムにおいて作成したCTVと実際の治療時のCTVを比較したうえで、これまでの治療例での傾向や、その後の再発とCTVが関連していたかどうかを調査し、多段階領域拡張法の臨床実用性を検討していく。
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