研究課題/領域番号 |
20K16767
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
荒井 信行 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 助教 (60834885)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 脳内クリアランス / MRI / 緩和時間 / 酸素分子 |
研究開始時の研究の概要 |
以前から定説であった髄液産生の動態経路に疑問の声が高まり,脳内クリアランスの機序として存在が不確かであったリンパ網の排泄機構が再び注目を集めている.その動態を画像的に捉えることができれば,髄液動態経路の解明に役立つのではないかと考えた.そこでMRIにおいて縦緩和時間(T1)の変化を引き起こす作用がある酸素分子に着目し,酸素吸入下MRIという斬新な手法でT1の経時的変化を捉えることで,脳内リンパ網の動態経路を明らかにできるのではないかという着想に至った.本研究では,動脈周囲腔や脳細胞間質,脳脊髄液の酸素分子によるT1変化を経時的に追跡し,リンパ網の動態経路を明らかにすることである.
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研究実績の概要 |
本研究では,脳内クリアランスの機序を解明するために酸素分子をトレーサーとして仮説を立て,glymphatic systemのメカニズムを考慮した髄液や脳実質のT1の経時的変化を磁気共鳴画像(MRI)で定量的に画像化,数値化する. 臨床用MRI装置と既存設備で簡便に投与可能な酸素を用いて,酸素分子によるわずかなT1の変化を捉えるために,模擬ファントムを使用して検証を行った.髄液のような長い緩和時間の組織におけるT1の測定は,一般的に測定精度が低下するとされている.しかし,今回反転パルスを複数個用いた反転回復法の変法を適用し,その設定パラメータを調整することで,長い緩和時間の組織とその他生体組織の両者を対象としたT1測定を可能にした.計測法の比較手法として,T1計測法として広く採用され,かつ短時間でデータ収集が可能なdouble-angle法を用いたが,送信磁場の不均一の問題を解消している今回の提唱手法の方が精度よくT1のわずかな差を捉えることができた.これは緩和時間が長い領域も同様である.また,基準法とした従来の反転回復法は,T1を測定する手法で最も正確に測定可能である一方で,計測時間が非常に長いため生体への応用はそもそも不可能である. しかし今回の提唱手法は短時間でデータを取得することができ,生体にも十分適用可能であるため,髄液やリンパ系の流動経路の解明の足掛かりにすることができる可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
検証データや取得結果をまとめ,国際学術英文誌に論文投稿を行ったが,Rejectののち姉妹誌を紹介されて現在指摘箇所を真摯に対応して投稿準備中である. 提唱手法のT1計測において,比較的正確な測定が困難とされる緩和時間の長い領域を模擬したファントムに,緩和時間が短い領域の組織を模擬したファントムを配置し検証を行った.生体内に混在する緩和時間が長い組織と短い組織の両者の正確なT1計測を一度の撮影で行うことができ,酸素吸入によるわずかなT1の差を鋭敏に捉えることができる可能性が示唆された.この研究成果はあくまでファントムによる結果であるため,生体への適応について計画中である.しかし昨今のコロナ禍による影響で被験者の募集や臨床MRI装置の使用などが制限されているのが現状である.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は,3次元T1強調画像も取得し脳形態統計解析を応用していくことを見据えてデータ取得を行う,また,引き続き提唱手法のT1計測の不変性を実証していく.in vivoによるデータ収集が困難な状況であり,その中でも仮設手法による解析を遂行し,解析結果により新しい知見が得られる都度,学会発表や論文執筆を通して研究成果を発信し医療分野に還元していく. 投稿論文の準備を進めながら,当初計画とコロナ禍における研究遂行における変更内容を反映させながら遂行していく予定である.
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