研究課題/領域番号 |
20K16814
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
嵯峨 涼 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (50794145)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ヒアルロン酸 / 放射線抵抗性 / 癌幹細胞 / 放射線治療 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍組織におけるヒアルロン酸の過剰な産生は、薬剤耐性や遠隔転移と関連し予後予測因子として注目されているが、ヒアルロン酸分解酵素により分子量は変動し、多種多様に機能が変わるため、解明しなければならない点が多い。また、放射線治療中におけるヒアルロン酸分子量の影響に対する研究も少ない。そこで本研究では、放射線抵抗性を有する癌細胞および癌幹細胞様細胞を用いて、ヒアルロン酸分子量分布が通常の癌細胞と比べて、どのように変化するかを明らかにし、放射線治療における予後不良因子である再発や遠隔転移を防止するための新たな治療戦略の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、放射線治療の予後不良因子である癌細胞の放射線抵抗性獲得および遠隔転移に係るヒアルロン酸の分子量に着目し、そのメカニズムを解明することを目的としている。 2022年度は、口腔扁平上皮癌細胞株を低酸素環境で培養し、上清中のヒアルロン酸分子量分布を測定したが、通常酸素環境の培養上清中ヒアルロン酸分子量と比較して、変化が見られなかった。そのため2023年度は、腫瘍微小環境中における癌細胞と正常細胞の相互作用に着目した。前立腺癌細胞株22Rv1の培養上清を使用し、前立腺間質細胞株であるWPMY-1を培養すると、通常培養と比較して産生されるヒアルロン酸分子量が高分子量化することが分かった。また、22Rv1の培養上清はWPMY-1のヒアルロン酸産生そのものを亢進することも明らかになった。一方、WPMY-1の培養上清を用いて22Rv1を培養し、前立腺癌幹細胞マーカーであるCD44およびCD133陽性細胞画分をフローサイトメトリーで測定すると、通常培養と比較して約6倍増加し、2 Gy X線照射に対して、放射線抵抗性を示した。このWPMY-1細胞の培養上清をヒアルロニダーゼ処理し、ヒアルロン酸のみを除去したところ、除去前と比較して2 Gy X線照射に対する生存率が減少した。以上の結果から、癌細胞と正常細胞のヒアルロン酸を介した作用により、癌細胞が放射線抵抗性を獲得することが示唆された。しかし、高分子量化したヒアルロン酸が放射線抵抗性ならびに遠隔転移と関連するかは未だ不明のため、今後検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒアルロン酸分子量分布測定用の分子量マーカーが一部製造中止および代替品の品薄によって納品が遅れたため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ヒアルロン酸分子量の変化と癌細胞の放射線抵抗性および遠隔転移(浸潤)に関して、メカニズム解析を行う。
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