研究課題/領域番号 |
20K16830
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
中嶌 晃一朗 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (50866176)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 陽子線治療 / FLASH照射 / ショウジョウバエ / タイムラプスイメージング / 線量分割 / 生物学的効果 |
研究開始時の研究の概要 |
陽子線照射後の生体内細胞応答から組織損傷(もしくは組織回復)に至るまでのプロセスは、X線照射後のそれとは異なる時間経過により実行されている可能性がある。本研究では、培養細胞とショウジョウバエのモデルを用いて、照射後の動態をタイムラプスイメージングにより観察し、そこに分子生物学的解析を加えることでいくつかの評価項目における線種毎の経時的変化を整理し、線種間の違いを比較していく。最終的には陽子線治療独自の最適な線量分割法に対する示唆を与える基礎生物学的データを発信していきたい。
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研究成果の概要 |
本研究の当初の計画では、培養細胞実験とショウジョウバエ実験を並行して行う予定であったが、ショウジョウバエに対する超高線量率陽子線照射(FLASH照射)実験を優先的に行うこととした。野生型ショウジョウバエの三齢幼虫と処女雌成虫を用いて、通常線量率照射群とFLASH照射群の比較実験を行った。照射後遺伝子発現解析では、線量率の違いにより特定の遺伝子において遺伝子発現レベルが異なることが観察できた。一方で、処女雌成虫に対する照射実験において、その第一世代子孫(F1)の蛹化率・羽化率、羽化後の単位時間当たり活動量を評価したが、いずれの項目においても線量率の違いによる有意な差は認めなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
陽子線治療は低侵襲ながん治療の選択肢として重要な役割を果たしている。「超高線量率照射=FLASH照射」は、未だ生物学的機序において不明な点が多いが、臨床応用されれば、さらなる低侵襲化を可能とする画期的な照射法として期待されている。本研究の成果は、FLASH照射の生物学的基礎研究の普及に向けた実験モデルの構築に寄与するものであり、ショウジョウバエにおいても線量率の違いにより反応に差が出る可能性が示唆されたことは、今後に期待の持てる結果であった。
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