研究課題/領域番号 |
20K16833
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52040:放射線科学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
外山 弘文 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (90588675)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 前立腺癌 / 小線源治療 / スペーサー / 前立腺―直腸間距離 / 直腸線量 / 放射線治療 / ハイドロゲル・スペーサー / 日本での有効性 |
研究開始時の研究の概要 |
前立腺癌の放射線治療においてスペーサーが欧米から日本に輸入され普及しつつあるが、その分布様式の詳細は明らかになっておらず、日本人の体型における有効性は確かめられていない。そこで本研究では、本国で導入したばかりの貴重な臨床データを用いてスペーサー群および導入以前の対照群において前立腺と直腸の距離を3か所で測定してスペーサーの分布を調べ、日本人の体型でも欧米人と同様の効果が得られるか検証する。また、スペーサーによる前立腺およびその周囲への線量に対する影響を解析し、距離と線量分布の関係性を考察する。
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研究成果の概要 |
前立腺癌の放射線治療で前立腺と直腸の間に注入するスペーサーの効果を調べた。スペーサー群では対照群より前立腺中央・頭尾側の3断面で前立腺―直腸間距離が有意に長く、直腸線量は有意に低下したが、尿道線量は有意差がなかった。前立腺―直腸間距離は特に尾側で直腸線量と負の強い相関を示したが、前立腺体積、BMIとの相関は弱かった。前立腺―直腸間距離、直腸・尿道線量に関して、スペーサー群の前半と後半、術者4名の間、同一術者の最初から10例ごとの症例群間で比べたところ有意差はほぼなかった。以上より、スペーサーは術者の違いや経験によらず直腸線量軽減に有効な薬剤であり、尿道線量にも悪影響を与えないことが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の結果から、今後スペーサーは初心者でも直腸線量の軽減が期待でき、術者間の差異が生じにくいことが明らかとなった。このように複数の術者や症例群で徹底的に比較した報告は知る限りでは他になく、今後スペーサーが本邦において益々普及していくにあたって重要な情報となると考える。また、スペーサー留置が有効な部位については学会などの報告でも若干ばらつきがあるが、本研究において中央横断面から特に尾側へ留置することが直腸線量の軽減に有効であることが示唆された。この点に留意してスペーサーを注入することで安定した直腸線量の軽減が期待できると考える。
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