研究課題/領域番号 |
20K16861
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 智子 東京医科大学, 医学部, 客員研究員 (80784652)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 動脈管 / 内膜肥厚 / フィブリン1 / バーシカン / ヒアルロン酸 / 動脈管開存症 / 血管リモデリング / 細胞外基質 / 血管平滑筋細胞 / 血管内皮細胞 / Fibulin-1 |
研究開始時の研究の概要 |
動脈管は通常出生後に速やかに閉鎖するが、これが閉鎖しない動脈管開存症は新生児の生命予後を左右する。動脈管の解剖学的閉鎖には、内膜肥厚形成が必須である。内膜肥厚は中膜から内側へ遊走してくる血管平滑筋細胞と複数の細胞外基質で形成され、動脈管の内腔を狭めることで動脈管を解剖学的に閉鎖させる。Fibulin-1は多くの細胞外基質との結合部を持つ糖蛋白質である。Fibulin-1はそれ自身も細胞外基質であるが、他の細胞外基質同士を橋渡しし、相互に働かせる役割を持つ。そこで、本研究ではFibulin-1に注目し、他の細胞外基質と共役して動脈管内膜肥厚を起こす機序を、細胞実験および動物実験により検討する。
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研究成果の概要 |
未熟児脈管開存症を発症すると新生児は循環不全から命を落とすことがある。動脈管の閉鎖には、血管内腔側の内膜が出生時に十分に肥厚していることが重要である。この内膜肥厚を誘導する有力な候補遺伝子としてフィブリン1を同定した。フィブリン1は、動脈管の平滑筋細胞において胎盤由来ホルモンであるプロスタグランディンEにより誘導されるタンパクであるが、プロスタグランディンE受容体であるEP4の刺激で著明に増加した。このフィブリン1が中心的な役割を果たし、バーシカンという細胞遊走を促すタンパクと共に働くことで内膜肥厚が血管内腔に向けて形成されてくるという機序が今回初めて明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
動脈管閉鎖は動脈管収縮と内膜肥厚よりなるが、未熟児動脈管開存症の内科的治療は、この40年間、血管収縮を促す作用のあるシクロオキシゲナーゼのみである。超未熟児ではシクロオキシゲナーゼ阻害薬への抵抗例が30%と極めて多く、循環不全で命を落とす症例が多い。近年本邦でも他の先進諸国と同様、未熟児の出生率は約10%と増加し、動脈管開存症に対する新たな治療法の開発は急務である。本研究により動脈管内膜肥厚形成に重要な役割を果たす分子としてフィブリン1が同定された。フィブリン1の誘導により、非侵襲的な新規薬物治療が可能となる。本研究の成果は未熟児の生命予後、発達予後の改善に大きく貢献すると考えられる。
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