研究課題/領域番号 |
20K16864
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
川原 勇太 自治医科大学, 医学部, 講師 (10570385)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | がん免疫療法 / 腸内細菌叢 / 腸内環境 / 小児急性リンパ性白血病 / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
「難治性小児急性リンパ性白血病(ALL)に対するがん免疫療法薬であるブリナツモマブ治療の有効性や副作用と、腸内環境との関連を解析し、新規バイオマーカー(生体内の物質で治療への反応性や副作用と関連する指標)を見出すこと」を目的とする。本研究によって、難治性小児ALLにおけるがん免疫療法において、新規バイオマーカーを用いた、有効性や副作用リスクの予測による適切な患者選択により、最適化医療の確立につながる可能性がある。 研究方法は、①ブリナツモマブ治療前後の難治性小児ALL患者の便の収集、②便を用いた腸内環境解析、③腸内環境解析のデータとブリナツモマブの有効性および副作用との関連の解析、を行う。
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研究実績の概要 |
1.ALL-R19 Blin遂行 本研究では、「難治性小児急性リンパ性白血病(ALL)に対するがん免疫療法薬であるブリナツモマブ治療の有効性や副作用と、腸内環境との関連を解析し、新規バイオマーカー(生体内の物質で治療への反応性や副作用と関連する指標)を見出すこと」を目的としている。本研究は、JCCG(日本小児がん研究グループ)の臨床試験である、“再発難治性小児白血病に対するブリナツモマブを用いた全国臨床試験第II相試験”(ALL-R19 Blin)に紐づいて行っている。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)およびブリナツモマブ発売元企業であるAMGENからの研究助成(ALL R19 Blin Bio)による研究資金の支援の下、臨床試験開始準備を行ない、2021年12月16日からALL-R19 Blinを開始することができた。2023年4月21日現在、84施設が参加しており、11症例が症例登録されている。 2.SCT-ALL-BLIN21遂行 JCCGの臨床試験である“再発難治CD19陽性B細胞性急性リンパ性白血病に対する同種造血細胞移植後のブリナツモマブによる維持療法の安全性および有効性に関する多施設共同非盲検無対照試験:第I-II相試験”(SCT-ALL-BLIN21)におけるブリナツモマブ治療の有効性や副作用と腸内環境との関連の解析も行っている。SCT-ALL-BLIN21は、2022年3月4日から開始しており、2023年4月21日現在、2症例が症例登録されている。 3.ブリナツモマブ治療前後の難治性小児ALL患者の糞便検体の収集 13症例から、糞便検体を計32検体収集し、ビーズ破砕法でDNAを抽出した。検体数がある程度集まったところで、次世代シークエンサーを用いたメタゲノム解析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、ALL-R19 BlinおよびSCT-ALL-BLIN21に紐づいて行うが、ALL-R19 BlinおよびSCT-ALL-BLIN21の開始が遅れたため、糞便検体の収集が当初の予定より進んでいない。 ALL-R19 Blinを開始するまでの間に、腸内環境解析の実行可能性の検討や糞便検体採取用物品の最適化を行い、糞便検体収集・腸内環境解析の準備を整えた。 臨床試験開始後、参加施設の増加や適格基準の拡大などを行い、患者リクルートの改善を試みている。
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今後の研究の推進方策 |
1.臨床試験の遂行:ALL-R19 BlinおよびSCT-ALL-BLIN21を安全に遂行する。 2.ブリナツモマブ治療前後の難治性小児ALL患者の糞便検体収集、およびDNA抽出:ALL-R19 BlinおよびSCT-ALL-BLIN21において、ブリナツモマブ治療前後に採取した難治性小児ALL患者の糞便検体を、研究参加施設から当科に送付していただく。送付された糞便検体から、ビーズ破砕法によるDNA抽出を行う。 3.糞便検体から抽出したDNAのPCRおよびシークエンス(メタ16S rRNA遺伝子解析):抽出したDNAを用いて、原核細菌が固有に持つ16S rRNA遺伝子をPCRによって特異的に増幅し、次世代シークエンサーであるMiSeqシステムを用いてシークエンスを行い、メタ16S rRNA遺伝子解析を行う。 4.糞便検体から抽出したDNAのライブラリ調整およびシークエンス(メタゲノムショットガン解析):抽出したDNAを用いて、ライブラリ調整キットでライブラリ調整を行う。NovaSeqシステムを用いてシークエンスを行い、断片化された遺伝子配列をすべて決定するメタゲノムショットガン解析を行う。 5.メタボローム解析:液体窒素で急速凍結した凍結糞便検体を用いて、ガスクロマトグラフィー質量分析法および液体クロマトグラフィー質量分析法によって、腸内細菌叢から産生される種々の代謝産物を測定するメタボローム解析を行う。 6.腸内細菌叢および代謝産物のブリナツモマブの有効性および免疫関連有害事象への影響の解析:メタボロゲノミクスによる腸内環境解析結果を用いて、ブリナツモマブ奏効群・非奏効群および合併症発症群・未発症群において、腸内細菌叢の多様性や系統組成、特定の腸内細菌の割合、腸内細菌叢の機能組成、腸内細菌叢由来代謝物質を比較し、バイオマーカーを探索する。
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