研究課題/領域番号 |
20K16868
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
米山 俊之 順天堂大学, 医学部, 助教 (50843140)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 食物アレルギー / 骨髄由来免疫抑制細胞 / 免疫寛容 |
研究開始時の研究の概要 |
食物アレルギーの分野において、アレルゲンを微量から漸増摂取して治癒を目指す経口免疫療法が臨床研究として近年行われている。しかしその安全性は確立しておらず、食物アレルギーが治癒する機序は分かっていない。申請者は経口免疫療法マウスモデルを作製・解析した結果、免疫応答を強力に抑制する『骨髄由来免疫抑制細胞』が食物アレルギーの耐性獲得に大きく関与していることを見出した。そこで本研究ではヒトでも骨髄由来免疫抑制細胞が耐性獲得の誘導に寄与するのかを明らかにし、食物アレルギーの予後予測マーカーの確立や治療効果判定のメルクマールの同定など臨床応用を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究の目的はヒトの血液中に存在する骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)に着目し、食物アレルギーの免疫抑制機構を明らかにすることである。MDSCの主な作用はIL-10やTGF-β等を産生することでエフェクターT細胞の免疫応答を強力に抑制し制御性T細胞(Treg)の増殖を促すことで免疫系を負に制御する。しかし食物アレルギーを持つヒトにおいてMDSCを介した免疫抑制機構は分かっていない。 MDSCは単球系MDSC(M-MDSC)と多形核細胞系MDSC(PMN-MDSC)に大別される。食物アレルギーを持つ小児の血液より分離したM-MDSCの割合は、PMN-MDSCと比べて有意に多かった。また、患者由来のM-MDSCとCD4陽性T細胞を共培養した結果、CD4陽性T細胞の活性化は有意に抑制された。2022年度に実施した実験の結果より、M-MDSCによるCD4陽性T細胞活性化抑制能と患者血液中のTregの割合に正の相関があることが分かった。これらの結果から、食物アレルギーを持つヒトにおいて、主にM-MDSCがアレルギー反応の鍵となるエフェクターT細胞の過剰な活性化を抑制していることが示唆された。一方で食物アレルギーの耐性獲得には抗原特異的Tregが関与すると考えられているが、MDSCが抗原特異性を有するTregを誘導するのかは分かっていない。M-MDSCの免疫抑制能の強さと抗原特異的Tregの関連についても、今後検討していきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点では当初想定した仮説を支持する結果を得ており、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
食物アレルギー患者由来のM-MDSCは抗原特異性を持ったTregを誘導するのかを検討し、耐性獲得に至る機序の一端を解明したい。
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