研究課題/領域番号 |
20K16885
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
細川 奨 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 寄附講座講師 (00737025)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 肺高血圧症 / DPP-4阻害薬 / caveolin-1 / GLP-1受容体作動薬 / DPP-4 / GLP-1 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、肺高血圧症と炎症との関連に注目し研究を進める。 特に、インスリン分泌促進(インクレチン)ホルモンであるGLP-1 (glucagon-like peptide-1)、およびその分解酵素ジペプチジルペプチダーゼ4 (DPP-4)の肺高血圧症の病態に果たす役割を以下のように検討する。 (1)DPP-4の肺血管リモデリング促進作用(蛋白分解酵素/非蛋白分解酵素としての機能解析) (2)GLP-1の肺血管リモデリング抑制作用(GLP-1依存性/非依存性シグナル伝達経路の解明) 肺血管リモデリングにおける炎症の関与について明らかにし、肺高血圧症の新規治療薬の開発を目標とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、インスリン分泌促進ホルモンであるGLP-1、およびその分解酵素DPP-4が、肺高血圧症の病態に果たす役割を検討し、これらの薬剤の肺高血圧症への治療薬としての可能性を探るものである。 2020年度はin vivoでのデータを中心に検討した。モノクロタリン誘発肺高血圧ラットを用いて、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬が肺高血圧症を改善すること、特にこれら2剤の併用が最も生存率が高めることを確認した。 続いて研究実施計画に基づき、2021年度は以下の検討を行った。(1)T細胞と肺動脈平滑筋細胞の直接の相互作用の可能性の検討:Flagタグ付きDPP-4プラスミド、およびDPP-4変異プラスミドを作成し、これをHEK293細胞に遺伝子導入、ライセートを作成したのち、肺動脈平滑筋細胞と免疫沈降を行った。この結果、DPP-4と直接作用するのは、肺動脈平滑筋細胞上のcaveolin-1であることが明らかになった。このことから、肺動脈平滑筋細胞の増殖に、CD26・caveolin-1系の相互作用が関与しているという仮説を立て、以下の実験を行なった。(2)T細胞と肺動脈平滑筋細胞の共培養:FGF2で刺激した肺動脈平滑筋細胞とJurkat-CD26細胞株を共培養したところ、Jurkat-parent株との共培養に比べ強い細胞増殖を示す傾向を認めた。 2022年度は、実験の進捗状況を考慮し、DPP-4阻害薬を用いて以下の検討を行った。(1)免疫組織化学染色:ラット(コントロール群、モノクロタリン誘発肺高血圧群、モノクロタリン+DPP-4阻害薬群)の3群を用いて、NF-kB リン酸化p65を比較したところ、モノクロタリン群で優位に肺動脈平滑筋細胞に一致したリン酸化p65の発現増強を認めた。(2)タンパク発現:ヒト肺動脈平滑筋細胞を用いて、TGF-βあるいはFGF2で刺激し、DPP-4阻害薬を投与したところ、リン酸化p65のタンパク発現量はDPP-4阻害薬の濃度依存性に抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本実験計画に対して、可能と考えられたエフォートを十分に割けていないことが進捗が遅れた主な要因である。 また実験の条件検討も予想以上に時間を要した(例:DPP-4のT細胞活性化抗原としての役割を検討する実験)。本実験計画では、肺動脈平滑筋細胞における(1)DPP-4受容体の存在の検討、(2)GLP-1の肺動脈平滑筋細胞への作用機序についても検討課題であったが、実験の進捗状況を鑑みて今後は(2)を中心に検討をする。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況が大幅に遅れておりDPP-4の役割を中心に検討してまとめる方向とする。現時点でDPP-4阻害薬が蛋白分解酵素の役割としてNF-kBp65の核内移行抑制により、結果として肺動脈平滑筋細胞の増殖抑制作用を有することを明らかにしている。また非蛋白分解酵素の役割として、caveolion1と直接作用することが明らかとなった。これらが結果としてモノクロタリン誘発肺高血圧ラットの肺高血圧症を軽減した要因と考える。 加えて、GLP-1受容体作動薬を用いた肺動脈平滑筋細胞の増殖抑制作用も示しており、その機序を明らかにする予定である。
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