研究課題/領域番号 |
20K16895
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
後藤 洋徳 大分大学, 医学部, 客員研究員 (70727966)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 小児 / 急性骨髄性白血病 / ヒストンメチル化 / AYA世代 / H3K27me3 / H3K4me3 / 小児AYA世代AML / 小児AML / H3K27トリメチル化 / H3K4トリメチル化 / 治療抵抗性 / MLL / EZH2 / H3K4 / H3K27 / AML / 予後因子の確立 |
研究開始時の研究の概要 |
小児およびAYA世代の急性骨髄性白血病(AML)は、遺伝子異常を予後因子として治療の層別化が進み治療成績が改善されてきたが30%は難治・再発例である。一方で成人AMLではエピゲノムに基づく新規の治療戦略が展開されつつある。今回、エピゲノムに注目し、申請者は自施設の小児AML例でヒストン低メチル化が再発・難治例に多いことを見出した。今後、小児・AYA世代のAMLにおけるヒストンメチル化およびヒストンメチル化酵素(MLL、EZH2)の発現解析を行い、ヒストン低メチル化およびヒストンメチル化酵素の発現低下が治療抵抗性の要因となるかを明らかにし、脱メチル化酵素阻害薬等による新たな治療戦略を見出す。
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研究成果の概要 |
本研究により、小児期の急性骨髄性白血病(以下:AML)では、遺伝子発現を調整するヒストンというタンパク構造のうち、H3K27のトリメチル化(以下:me3)の低下が予後不良に関連するという結果を得た。また、H3K27me3の低下したAML細胞では、治療抵抗性遺伝子の発現が上昇しているという結果をRNA-seq解析により得た。さらに、細胞株を用いて、H3K27me3の脱メチル化阻害剤を用いることで、治療抵抗性遺伝子の発現が低下し、治療抵抗性の改善がもたらされるという結果を得た。また、AML以外の固形腫瘍でも解析を行い、ヒストンメチル化と難治化の関連性について解析を行い、病態を明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、小児期のAMLにおいて、遺伝子発現を調整するヒストンタンパクのうち、H3K27me3の低下が、予後の悪化に関与することを明らかにした初めての報告である。また、H3K27me3の低下により治療抵抗性遺伝子の発現が増加し、H3K27me3脱メチル化阻害剤により治療抵抗性遺伝子の発現が低下し、治療抵抗性が改善することも示した。小児期AMLにおけるH3K27me3という新たな視点による予後の層別化と同時にH3K27me3をターゲットとした新たな治療開発の可能性を示した研究であり、小児期難治・再発AML例に貢献し得る研究である。
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