研究課題/領域番号 |
20K16919
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
後藤 美和 山梨大学, 大学院総合研究部, 特任助教 (70327576)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 低出生体重児 / GDF15 / 慢性腎臓病(CKD) / ミトコンドリア機能 / 慢性腎疾患 / ミトコンドリア |
研究開始時の研究の概要 |
低出生体重児が慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)を発症する機序についてはいまだ不明な点が多い。子宮内発育不全にともなう低出生体重児では、膵臓、肝臓、骨格筋などの主要臓器において酸化ストレスの増加とミトコンドリア(Mt)機能の異常が観察されているが、腎臓において同様の変化があるかについては十分な検討がなされていない。本研究は、CKDで主に障害を受ける糸球体上皮細胞がMt機能障害の影響を受けやすい細胞であることに着目し、低出生体重児のCKDとMt機能異常に関連があるのかという点を、症例とモデル動物により明らかにし、腎予後の改善につなげることを目的としている。
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研究実績の概要 |
在胎週数37週未満でかつ出生時体重2500g未満の低出生体重児(LBW群)と正期産でかつ出生体重が2500g以上の対照群(Control群)において血中および尿中のGrowth Differentiation Factor 15(GDF15)を測定しLBW群の腎機能障害とミトコンドリア機能異常に関連があるかについて検討した。GDF-15は、ミトコンドリアストレスの刺激により循環中へ放出されることが報告されている。またGDF15は、正常細胞に比してミトコンドリア病細胞での遺伝子発現量が多く、ミトコンドリア病患者の血清において有意な上昇がみられることから、ミトコンドリア関連疾患の新規バイオマーカーの一つとなっている。成人では血清および尿中GDF15は独立した慢性腎臓病(CDK)進行のリスクマーカーであり、患者の生存期間と負の相関を示す。本研究では、まず、LBW群とControl群の血清および尿中GDF15の違いについて検討した。その結果、腎機能は両群間に有意な差がないものの、Control群と比べてLBW群で血中GDF15値が有意に高く、LBW群では血中GDF15と尿中GDF15が相関するという結果が得られた。Control群では、血中GDF15と尿中GDF15の相関は確認されなかった。腎ストレス下において、尿中GDF15は腎組織内のGDF15発現と相関することから、本研究におけるLBW群の血清GDF15の上昇は、腎ストレスによる腎臓組織内のGDF15の発現増加を反映していると推測される。また、LBW群における血中および尿中GDF15の上昇がLBW児のCKD進行の予後マーカーとして利用できるかについて検討した。その結果、血中GDF15が高値の患者の一部で、持続した糸球体濾過量の低下が観察された。今後、長期フォローを行い血中・尿中GDF15値が低出生体重児の長期の腎予後のマーカーとなりうるか、またそのカットオフ値の検討を行う必要がある。
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