研究課題/領域番号 |
20K16929
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
中川 俊輔 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (60789973)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 小児急性リンパ性白血病 / 核小体ストレス応答 / 薬剤抵抗性 / P53 / 小児白血病 / 多剤耐性 / 薬剤耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
核小体ストレス応答は,癌抑制因子p53を制御する新たな抗腫瘍システムとして注目され,研究協力者の河原らは,この機構を利用した抗がん剤候補化合物を多数発見している 。申請者は再発小児急性リンパ性白血病(ALL)患者の核小体ストレス応答が減弱している傾向を見出し,さらに小児ALL細胞株で核小体ストレス応答が抗がん剤の感受性に関与することを明らかにした。本研究で,1)核小体ストレス応答を用いた小児ALLの再発や治療感受性を予測する診断技術を開発し,2)この応答を誘導する新規化合物が小児ALL細胞株に奏功することを明らかにし,小児ALLの新たな治療戦略を確立する。
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研究成果の概要 |
核小体ストレス応答はRPL11を介してMDM2を抑制し,P53を活性化させる癌抑制機構である。小児B前駆細胞性急性リンパ性白血病(BCP-ALL)ではTP53遺伝子変異がほとんど認められないため,核小体ストレス応答は良い治療標的と考えられる。 本研究では,まず,細胞株を用いて小児BCP-ALLで核小体ストレス応答が機能することを明らかにした。次に,小児BCP-ALLの治療で用いる薬剤の中で,4種類の薬剤が核小体ストレス応答を誘導することを明らかにした。また,臨床検体を用いた解析で,再発時にRPL11が低下する傾向があり,核小体ストレス応答の機能低下が再発に関連する可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は小児BCP-ALLで核小体ストレス応答が機能することを明らかにし,これまでに核小体ストレス応答を誘導することが報告されていない4つの抗腫瘍薬の新たな作用機序を明らかにした点で学術的意義がある。また,臨床的検体を用いた検討では,核小体ストレス応答の機能低下が再発や薬剤抵抗性に関連する可能性を示した。以上のことから,核小体ストレス応答が小児BCP-ALLの再発や治療抵抗性を克服するための治療標的となり得ることを示し,小児BCP-ALLの新たな治療戦略を構築するための材料となる点において,社会的な意義があると考える。
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