研究課題/領域番号 |
20K16932
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分52050:胎児医学および小児成育学関連
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
浜中 耕平 横浜市立大学, 医学部, 助教 (20801129)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | クリッペルフェイル症候群 / 染色体転座 / トポロジカルドメイン / スーパーエンハンサー / エンハンサーハイジャッキング / Klippel-Feil syndrome / 転座 / ゲノム構造異常 / 全ゲノムシーケンシング |
研究開始時の研究の概要 |
クリッペルフェイル症候群は頸椎癒合などの骨の症状を呈する遺伝性疾患であるが、その原因は特定されていない。我々は過去の研究において、本症候群を呈する家系に染色体転座を同定した。染色体転座はその周辺の遺伝子の発現を変えることで疾患を起こすことが知られている。本研究では、オミクス解析により本転座の周辺の遺伝子の発現を網羅的に解析し、発現が変化している遺伝子を同定する。次にその遺伝子の骨分化に与える影響を解析し、クリッペルフェイル症候群の病態メカニズムを明らかにする。これらの解析により、本研究はクリッペルフェイル症候群の原因を明らかにし、その診断や治療の開発に貢献するだろう。
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研究成果の概要 |
染色体5番と8番の転座によるクリッペルフェイル症候群と小頭症のメカニズムの解明を試みた。この二つの症状は、骨芽細胞の骨化の異常と解釈できるため、この観点から解析した。まず、全ゲノム解析により、本転座の断端を決定した。この断端が破壊する2つのトポロジカルドメイン内に、骨芽細胞の骨化を促進するFGF18が位置していた。FGF18が転座により位置するトポロジカルドメイン内に、エンハンサーが密集した領域を同定した。次に、DNA配列から遺伝子の転写量を予測する深層学習モデル(インシリコルシフェラーゼアッセイと名付けた)で、このエンハンサー群がFGF18の発現量を骨芽細胞で増加させると予測された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本成果から、染色体転座がエンハンサーの異所性相互作用を介してFGF18の発現を上昇させ、骨芽細胞による骨化が亢進することで、クリッペルフェイル症候群や小頭症を起こしている可能性が示唆された。本研究の結果から、疾患のメカニズムに基づいた細分化と精密医療が将来的に進むと思われる。また、本研究で開発したin-silico “luciferase” assayは、現実にin vitroで行うluciferase assayと比べて、1)多様な細胞種で活性が調べられる、2)注目している遺伝子のプロモーター配列が使える、などのメリットを有し、今後国内外の幅広い研究で活用されると思われる。
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