研究課題/領域番号 |
20K16964
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
中森 裕之 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (60824349)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 近位結腸 / 6-OHDA / ドパミン / パーキンソン病 / 蠕動運動 / 便秘 / ビデオイメージング法 / GBR12909 / 排便 / 消化管壁内神経系 / 構成的活性化受容体 / 消化管運動 / 大腸 |
研究開始時の研究の概要 |
パーキンソン病患者では、脳内のみならず消化管壁内神経系のドパミン神経も変性するが、消化管ドパミン神経の変性と高頻度で認められる便秘症状との因果関係は不明である。 申請者らは最近、ラット近位結腸においてドパミンD1様受容体の拮抗薬による阻害および外因性ドパミンによる活性化が共に蠕動運動の抑制を導くことを明らかにした。さらに、D1受容体は筋層の平滑筋以外の細胞に分布していた。 そこで本研究計画では、免疫組織化学的手法、摘出腸管運動のビデオイメージング法等を用いて、消化管運動における内因性ドパミンの標的細胞を同定し、その細胞を介した消化管運動調節機序を明らかにすることを目的とした。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は、近位結腸の壁内神経系に存在するドパミン神経の運動制御における役割を解明することである。摘出したラットの近位結腸を用いて実験を行った。 これまでにドパミン神経が抑制性の遠心性神経に投射していることが示唆されたため、ビデオイメージング法によりターゲットとなる神経を同定した。ドパミン神経が一酸化窒素作動性神経に投射しているが、血管作動性腸ペプチド(VIP)神経およびプリン作動性神経には投射していないことが示唆された。前年度にドパミン神経毒である6-hydroxydopamine(6-OHDA)を用いて、消化管のドパミン枯渇による影響を検討した。この6-OHDAはドパミン神経だけでなく、交感神経系も破壊するため、摘出結腸標本で観察される蠕動運動における交感神経の役割を確認した。ノルアドレナリンの受容体拮抗薬および再取込阻害薬は蠕動運動に影響を及ぼさなかったため、中枢神経系から切り離された本実験標本では交感神経系は働いていないことが示された。 これらと前年度までの結果をまとめた論文を投稿中である。 また研究過程で、腸内分泌細胞のL細胞から分泌されるglucagon-like peptide 1(GLP-1)が蠕動運動を促進させることを明らかにしたため、この研究についても進展させた。リポ多糖(LPS)はグラム陰性菌の壁に存在するO抗原であり、L細胞からのGLP-1放出を刺激する。このLPSが大腸蠕動運動を促進させること、LPSによる促進作用にGLP-1が関与していることを明らかにした。これらの結果を論文にし、投稿予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はこれまでの内容を論文にまとめて、消化管生理学関連の雑誌に投稿している。査読者に指摘された内容も追加実験で解決している。しかしながら、コロナの影響で長期間および散発的に実験ができない日があり、慢性ストレスモデルラットを用いた実験は遂行不可能であった。また、論文雑誌の編集者、査読者からの返答が遅れており、本年度中に公表ができなかった。これらのことを踏まえて、「やや遅れている」と判断した。 本研究は本年度が最終年度であったが、査読者からの指摘で追加実験があるのか不明であること、公表する雑誌によっては投稿料が必要になることから、期間を延長させた。しかしながら、大々的な内容の変更はないと予想している。
|
今後の研究の推進方策 |
投稿した論文の返答待ちではあるが、指摘があった場合は追加実験をし、受理されるよう研究を遂行する。
|