研究課題/領域番号 |
20K16981
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
水谷 浩哉 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60864303)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 組織透明化技術 / 消化管 / 3次元構造 / LUCID / 消化管腫瘍 / 組織透明化 / ESD |
研究開始時の研究の概要 |
消化管腫瘍性病変の診断において見落としのない病理学的評価が非常に重要であり、病変全体を3次元的・網羅的に評価する方法が求められるが、現在のところ使用可能な簡便な方法は確立されていない。東京大学工学部の小野寺らは、溶媒中に生体組織を浸漬することにより組織を光学的に透明化する手法であるLUCID(ilLUmination of Cleard organs to IDentify target molecules)を開発しており,本研究において我々はこの新規の組織透明化技術であるLUCIDを、当院で内視鏡的に切除された消化管検体に適用し、3次元構造情報の取得・解析を行ないその有用性の確立を目指す。
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研究成果の概要 |
ヒトの食道・胃・十二指腸・大腸粘膜のいずれにおいてもLUCIDによる透明化処理によって共焦点顕微鏡による観察可能深度が有意に延長することが確認された。また、ヒト病理検体を使用するにあたっては組織に対する変性や損傷のないことが重要と考えられるが、透明化前後でのHE染色および各種免疫染色(Ki67, p53, E-cadherin)においても、明らかな染色性の低下や形態破壊は認められず、良好な診断可能性が保持されているものと考えられた。 このように従来の病理学的評価と相補的に併用することが可能である点はLUCIDの持つ重要な有用性であり、今後のさらなる改良や臨床応用への発展が期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
組織透明化技術は主に生物学の分野で研究開発されているが、ヒト検体での報告は依然として限られており消化管検体での有効性を示す報告は認められない。 今回我々はLUCIDで透明化されたヒト消化管粘膜について、ブタ消化管粘膜と同様に、光学顕微鏡による撮像・3次元再構築を行なうことで、粘膜内の腺管や血管の3次元構造を獲得することに成功しており、さらにLUCIDによる処理が臨床上の病理学的評価に及ぼす影響は最小限と考えられることを示した。これはLUCIDが従来の病理学的評価と相補的に併用することが可能であることを示唆しており、実臨床への応用にあたり非常に重要な知見であるものと考えられた。
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