研究課題/領域番号 |
20K16987
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂根 貞嗣 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (30817515)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / ω-6脂肪酸 / アラキドン酸 / 遺伝子多型 / アルコール性肝障害 / オートファジー / アポトーシス / 非アルコール性脂肪肝炎 / 細胞死 / エクソソーム |
研究開始時の研究の概要 |
ω-6系脂肪酸は体内の遊離脂肪酸の3割を占め、生体内では合成できない必須脂肪酸である。最近申請者は進行した非アルコール性脂肪肝炎(NASH)患者においてω-6脂肪酸量が変化していることを見出した。そこで肝内のω-6脂肪酸代謝異常がNASHの病態進展に関与しているのではないかとの仮説の元に、NASHにおいて肥満状態が肝内ω-6脂肪酸代謝異常が生じる機序と、ω-6脂肪酸代謝異常が肝細胞恒常性維持(脂肪蓄積、オートファジー、肝細胞死)に及ぼす影響に関して、培養細胞とマウスモデル、ヒト臨床検体を用いて検討を行う。
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研究成果の概要 |
ω-6脂肪酸は体内の遊離脂肪酸の約3割を占め、生体内では合成出来ない必須脂肪酸である。本課題は、ω-6脂肪酸が肝細胞恒常性維持に与える影響と、非アルコール性脂肪性肝疾患におけるω-6脂肪酸の意義を明らかにすることを目的に行った研究である。培養細胞とマウスを用いた研究結果から、非アルコール性脂肪性疾患モデルにおいてω-6脂肪酸代謝酵素の発現が上昇していることと、ω-6脂肪酸の後期代謝産物に肝細胞保護効果があることを明らかにした。臨床検体を用いた検討により、ω-6脂肪酸代謝酵素Fads1活性の高い症例において非アルコール性脂肪性肝疾患の病態が増悪していることが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果により、本邦で最大の慢性肝疾患である非アルコール性脂肪性肝疾患においてω-6脂肪酸代謝およびω-6脂肪酸が病態に深く関わっていることが明らかとなった。特にω-6脂肪酸の一種であるアラキドン酸は肝細胞単独の検討では肝細胞保護的に働く一方で、生体においては含有量が多い群において肝障害が強く誘導されることがわかり、ω-6脂肪酸が背反する作用を持つ可能性が示唆された。今後はω-6脂肪酸の持つこの二面性に着目することで、非アルコール性脂肪性肝疾患の新たな病態が明らかになることが期待される。
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