研究課題/領域番号 |
20K16989
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
田中 啓祥 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (20781941)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 膵がん / 細胞外基質 / 線維化 / 立体培養法 / 線維芽細胞 / 薬物送達 / 間質 / 細胞外基質リモデリング / 三次元培養法 |
研究開始時の研究の概要 |
膵がんは、治療抵抗性が極めて高く、難治である。その理由として、膵がん微小環境における顕著な線維化組織の存在が挙げられる。線維化は、線維芽細胞と、これら細胞が産生分泌する多量の細胞外基質(extracellular matrix: ECM)成分等によって構成される。線維化組織において、線維芽細胞ならびにECM線維は互いに高度に平行に揃っている。こうした異常配向が、膵がん組織の硬化を来し、病態進展および治療抵抗性獲得に寄与することが明らかとなってきた。本研究では、その分子機序を明らかにすることを通じ、膵がんの新規治療戦略開発に資することを目的とする。
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研究成果の概要 |
難治である膵がんの特徴である「線維化」は、薬物送達に対する障壁となる。本研究は、膵がん線維化組織における線維芽細胞ならびに細胞外基質(ECM)線維の「異常配向」に着目し、そのメカニズム解明を通じ、新規標的化戦略を開発することを目的とした。本研究を通じ、従来の実験系では困難・不十分であった線維化の再現を可能とする立体培養モデルの構築に成功した。また、これら立体培養モデルの解析により、異常配向獲得に関わるシグナル伝達経路を同定した。さらに、こうしたシグナルの阻害が、線維化組織を介した薬物送達効率の改善につながることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
膵がんの5年生存率は約10%前後であり、他の悪性腫瘍と比べても予後が極めて悪い。早期発見が困難なのも一因であるが、膵がんは各モダリティの治療法に対し高い抵抗性を示す。膵がんの治療抵抗性獲得に、線維化が密接に関わるが、その治療的制御法は未確立である。本研究はこうした状況を打開すべく、線維化の特徴である「異常配向」に着目した解析を立体培養モデルにおいて実施し、異常配向獲得を司る分子メカニズムを解析し、さらにその標的化による薬物送達効率改善の可能性を示した。今後の動物モデル等における治療効果の検証実験を通じ、線維化制御を通じた膵がんの新規治療戦略の確立に資する知見を得た点に本研究の意義がある。
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