研究課題/領域番号 |
20K16991
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
中村 由子 愛媛大学, 医学部附属病院, 助教 (40867256)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 肝癌 / 非アルコール性脂肪性肝炎 / B細胞活性化因子 / 微小環境 / 骨髄由来抑制細胞 / NASH / 肝細胞癌 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 高脂肪食 / 内臓脂肪 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、脂肪性肝疾患の肝発癌に焦点を当て解析することである。 B細胞活性化因子(BAFF)がインスリン抵抗性を誘導するアディポカインであることを見出し、肥満による内臓脂肪機能不全を惹起し、脂肪性肝疾患の肝脂肪化に関与することを明らかにした。 本研究では、ノックアウトマウスを用いた動物モデルや細胞を用いて明らかにする。1)BAFFによる糖尿病・肥満・脂肪肝を介した肝発癌への影響と機序の解析、2)BAFFを介した肝発癌に関わる遺伝子シグナルの解析、3)他のマウスモデルや治療介入による検証、4)臨床検体を用いた検証。 最終的にはBAFFを標的とした発癌予防や脂肪性肝疾患の治療法の開発に繋げたい。
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研究成果の概要 |
本研究では、B細胞活性化因子(BAFF)の脂肪肝由来肝発癌における役割をBAFFノックアウト(KO)マウス用いて解析した。ジエチルニトロサミン単回腹腔内投与し高脂肪食下で、脂肪肝と肝癌を合併したマウスモデルを作成した。肝腫瘍はBAFF-KOで数が多く、サイズも大きかった。腫瘍部のPCNA染色陽性細胞面積や細胞周期に関する遺伝子発現もBAFF-KOでより多く腫瘍増殖が亢進していることが示唆された。肝臓非実質細胞のFACS解析では、BAFF-KOでより骨髄由来抑制細胞や制御性T細胞の割合が多かった。これらからBAFFは免疫抑制系細胞への作用を有し、脂肪肝由来肝癌に関与している可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年ウイルス性肝癌が減少傾向を示す一方で、耐糖能異常や脂質異常症など肥満関連代謝異常を合併した非アルコール性脂肪肝疾患を背景とする肝癌が全世界的に増加している。脂肪肝症例から発癌例を抽出すること並びにその治療戦略を確立する必要がある。また様々な癌種においてT細胞を標的とした免疫治療が標準治療の一つとなっているが、申請者はBAFFが脂肪性肝疾患における免疫異常と発癌を繋ぐ重要な因子の一つではないかと考えている。肝発癌のメカニズムと治療法の確立は重要であり、本研究成果は脂肪性肝疾患のみならず肥満関連疾患などの領域にも波及することが期待される。
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