研究課題/領域番号 |
20K17007
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
中田 一彰 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, 臨床連携研究室 研究員 (20849244)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 高脂肪食 / 脂肪酸 / 腸上皮 / 腸上皮細胞 / 腸上皮バリア / 食品成分 / 生活週間病 |
研究開始時の研究の概要 |
生活習慣の欧米化による高カロリー摂取や運動不足による代謝バランスの乱れから、幼児や若年成人の肥満人口は増加しており、生活習慣病有病者の若年化が進んでいる。肥満・代謝性疾患は消化器癌発症のリスクを高めることが報告されているが、若年時からの肥満や代謝異常が腸管バリア機能に及ぼす影響は明らかにされていない。本研究では若年時からの高脂肪摂餌マウスにおける腸管バリア機能の変化を詳細に検討すると共に、腸管バリア機能の変化が代謝性疾患や癌などの消化器疾患の発症に及ぼす影響を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、管腔と体内を隔て、食事の影響を最前線で受ける腸上皮に着目し、近年の食事内容の変化、特に食事中に含まれる脂質の種類の違いが腸上皮へ及ぼす影響を明らかにすることを目的とし、高脂肪食のラードを飽和脂肪酸、または不飽和脂肪酸に置き換えた餌を作製した。さらに、食事中の脂質の種類の違いがもたらす影響が、悪性疾患の発症ならびに遷延化にどの程度関与するかについてマウスモデルを用いて検討した。不飽和脂肪酸食摂餌マウスと比べて、飽和脂肪酸食摂餌マウスで増殖細胞が増加し、大腸癌マウスモデルであるApcMin/+マウス、炎症-発癌モデルを用いた検討では、不飽和脂肪酸食摂餌群と比較して、飽和脂肪酸食摂餌群で腫瘍形成が促進された。飽和脂肪酸による上皮細胞の増殖亢進は、マウス小腸オルガノイド培養系を用いた検討においても認められ、腸上皮細胞への直接作用と考えられた。今年度は、組織染色により増殖細胞以外にも飽和脂肪酸食摂餌の影響を受ける細胞がいるか検索し、パネート細胞が増加することを見出した。飽和脂肪酸が上皮細胞の増殖を促進する分子メカニズムを明らかにするため、腸上皮細胞のシングルセル解析を実施した結果、コントロール食摂餌群と比較して、飽和脂肪酸含有高脂肪食摂餌群ではdrug metabolism、platinum drug resistance、glutathione metabolism、DNA replicationに関与する遺伝子発現が低下していることが明らかになった。さらに組織染色により、飽和脂肪酸が結合する蛋白質を発現する細胞が、飽和脂肪酸食摂餌群において増加することを見出した。当該分子の阻害剤により、飽和脂肪酸による細胞増殖亢進ならびにパネート細胞増加、腫瘍形成促進作用が失われたことから、飽和脂肪酸による腸上皮恒常性の破綻と腫瘍形成促進作用は、本分子を介することが明らかになった。
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