研究課題/領域番号 |
20K17048
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
上原 慶一郎 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (70710557)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | iPS細胞 / 胃分化誘導 / 粘膜筋板 |
研究開始時の研究の概要 |
胃癌では、癌細胞は胃粘膜上皮細胞から発生し、直下の粘膜固有層へと浸潤する。胃癌浸潤に関するこれまでの研究は、筋板の破壊に関するものがほとんどであるが、本研究では癌浸潤部で筋板が修復されないことに着目した。まず、ヒトiPS細胞由来胃オルガノイドを用いて、ヒトでの筋板形成に関わる因子を同定する。そして、胃癌手術症例の臨床検体においてその因子の発現と予後や転移との関連を検討し、胃癌における筋板再形成機構破綻を評価することで、胃癌浸潤メカニズムを解明する。
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研究成果の概要 |
ヒトの胃の粘膜筋板形成については、これまで研究がなされていない。我々は、既報を参考にヒトiPS細胞から粘膜筋板を伴った胃オルガノイドを作製し、経時的解析で上皮由来の因子が粘膜筋板形成に関わっている可能性を考えた。この粘膜筋板を伴った胃オルガノイドを用いて上皮由来ヘッジホッグシグナルとTGF-βシグナル、基質の機械的環境が粘膜筋板形成に関わっていることを明らかにした。TGF-βシグナルは、ヘッジホッグシグナルと機械的環境にも影響を与える可能性が示された。さらに、ヒトのESD後切除検体からTGF-βシグナルは潰瘍瘢痕上皮で発現頻度が有意に高く認められた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヒトiPS細胞由来胃オルガノイドを用いて、粘膜筋板形成に胃上皮由来のヘッジホッグシグナル、TGF-βシグナル、基質の機械的環境が協同的に作用していることを初めて明らかにした。また、TGF-βシグナルは粘膜筋板再生の際にも作用している可能性が示唆された。今後、胃癌において粘膜筋板が再生することなく粘膜下層に浸潤するメカニズムを明らかできる可能性があり、新たな胃癌治療の標的を探索することができるものと考えられる。
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