研究課題/領域番号 |
20K17055
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
|
研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
森脇 隆仁 川崎医科大学, 医学部, 助教 (60734100)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | DNA損傷 / 突然変異 / がん / 炎症 / DNA修復 / 発がん / 活性酸素種 |
研究開始時の研究の概要 |
炎症はゲノム不安定性を引き起こし、また発がんのリスク因子でもある。炎症によるゲノム不安定性誘発機構として、主に「酸化ストレスの増大」と「シチジンデアミナーゼの発現誘導」が提唱されている。酸化ストレスは8-オキソグアニン、シチジンデアミナーゼはウラシルなどの塩基損傷をゲノム中に生成する。生体内では、これらの塩基損傷は基本的に塩基除去修復によって効率よく正確に修復される。しかし、両者が同一塩基対に対向して存在する場合、正確な修復は非常に困難であり、ゲノム不安定性の原因になると予測される。 本研究では、対向型塩基損傷における塩基除去修復による修復効率や、他のDNA修復機構の関与の有無を検討する。
|
研究成果の概要 |
本研究では炎症性発がんのメカニズム解明を目指し、対向型DNA損傷が細胞内でどのように認識され修復されるのかについて検討を行った。対向型DNA損傷に結合活性を示す酵素を探索した結果、特異的に結合するタンパク質の存在を示すバンドが得られた。グリコシラーゼ活性を確認した結果、対向型DNA損傷からはウラシルが積極的に除去されることが分かったが、8-オキソグアニンの除去活性は見られなかった。APリアーゼ活性を観察した結果対向型DNA損傷におけるウラシルの除去はUNGやUDGなどよって行われていることが示唆された。以上のことから、対向型DNA損傷に対して細胞は特異的な修復機構を備えていることが分かった。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によりヒトに対向型DNA損傷を認識するタンパク質が存在することが明らかとなり、またその機能の一端が分かった。対向型DNA損傷は炎症性発がんと密接に関連していると予測されるため、このタンパク質を同定し、その機能を明らかにすることは炎症性発がんの理解につながる。全がんの15%は何らかのウイルス感染とそれに伴う炎症が原因であると見積もられている。それゆえ炎症性発がんの理解はがんの罹患リスクそのものの低下に大きく寄与すると期待される。
|