研究課題/領域番号 |
20K17057
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53010:消化器内科学関連
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
須藤 豪太 札幌医科大学, 医学部, 訪問研究員 (60830130)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 大腸がん / 粘膜下層浸潤 / 腫瘍微小環境 / サイトカイン / MMP9 / 微小環境 / 腫瘍関連マクロファージ / 腫瘍関連好中球 / SAA1 / 好中球 / 遺伝子発現 |
研究開始時の研究の概要 |
大腸がんの粘膜下層(SM)への浸潤・転移は、早期がんの治療方針を決める上で重要な問題であり、正確な予測マーカーや新規治療標的の同定が必要である。我々は大腸がん臨床検体のトランスクリプトーム解析を行い、大腸SMがん浸潤先進部で高発現する遺伝子を同定し、その周囲に好中球が有意に集簇していることを見いだした。近年、がん微小環境において腫瘍関連好中球が浸潤・転移に重要な働きをする可能性が提示されているが、そのメカニズムは十分に解明されていない。本研究は、大腸がん浸潤先進部における好中球の役割を解明することで、SMがんの浸潤・転移の分子病態を明らかとし、新規診断・治療法の開発につなげることを目的とする。
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研究成果の概要 |
大腸がんの粘膜下層(SM)への浸潤・転移は、早期がんの治療方針を決定する上で重要な問題であり、正確な予測マーカーや新規治療標的の同定が必要である。SM浸潤に関わる分子を同定するため、申請者らは大腸がん臨床検体のトランスクリプトーム解析を行った。その結果、大腸SMがん浸潤先進部領域の低分化成分・簇出においてSAA1 (serum amyloid A1)が高発現し、かつその周囲にマクロファージと好中球が有意に集簇していることを見いだした。マクロファージ由来のIL-1βが、大腸がん細胞のSAA1発現を誘導すること、さらにSAA1がマクロファージや好中球のMMP9発現を誘導することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
大腸粘膜下層浸潤がん(SMがん)の約90%はリンパ節転移がなく、低侵襲な内視鏡治療により根治切除が可能である。しかし、現行の転移リスク層別化基準に従って、内視鏡治療後に追加外科手術を行ったSMがん症例の約90%が過剰な外科治療となっている。我々は浸潤先進部の低分化成分・簇出において、SAA1が特異的に高発現することを見いだした。さらに免疫組織染色解析から結果、SAA1高発現領域の周囲にマクロファージと好中球が有意に集簇すること、これらがSSA1刺激によりMMP9を産生することを明らかにした。本研究から、SAA1が浸潤・転移予測マーカーや治療標的として有用性である可能性が示された。
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