研究課題/領域番号 |
20K17076
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
古澤 健司 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (50829158)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 免疫チェックポイント阻害薬 / 免疫関連有害事象 / 心筋障害 / 心エコー / GLS / ストレイン / 心臓バイオマーカー / 潜在的 / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
免疫チェックポイント阻害薬は従来の抗がん薬とは異なる機序により画期的な治療効果を示しているが、全身の様々な臓器に重篤な副作用を引き起こすことが報告されている。生命予後に大きく影響するものとして、心筋障害(irCAE)が挙げられるがその発症時期や頻度、詳細なメカニズムに関して不明な点が多い。本研究は、バイオマーカーと心エコーによる2Dスペックルトラッキング法によるglobal longitudinal strain (GLS)及び3D心エコーによる収縮能評価を用いることで、心不全発症や劇症化する前段階で、潜在的なirCAEの同定とその関連因子を明らかにすることを第一の目的とした前向き研究である。
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研究実績の概要 |
本研究の前段階として癌化学療法によるチャートレビュー研究を行い、2021年に論文投稿している(Cardiooncology、2021 Jul 6;7(1):26.)2020年の9月より化学療法部を中心に、院内でICI治療実施する全診療科と循環器内科で連携し、ICI投与全症例に対して、循環器的評価を実施する体制を構築し稼働している。 ICI治療におけるirCAEを予測するために、ベースライン、投与後6週後、12週後にバイオマーカー(トロポニンT、NT-ProBNP)でフォローし、心電図、 心エコーを実施した。心エコーでは、一般的指標に加え左室長軸方向の変形を評価するglobal longitudinal strain(GLS)で潜在的な左室収縮障害を評価項目とした。 2022年3月末までに458例を登録した。当初の予定より心筋炎のような重篤なirCAEの発症は認めず、心筋障害はバイオマーカー異常のみでsubclinicalなものが主体であった。2022年4月からは医療資源の観点も考慮しベースライン評価のみ行い追跡する方針として、前述の評価方法との比較対象とした。2024年3月末までに比較対象として283例を追加登録した。 ICI投与前からバイオマーカー上昇しているケースを認めた。ICI治療前段階での心疾患の有無(顕在的な異常)、潜在的なバイオマーカー異常、心エコー異常や心電図異常が、その後のirCAE発症にどのような影響を与えるかについて検討項目に追加した。またGLSと血圧より計測される Myocardial Work Indexを新たに検討項目に加え、irCAE発症や予後との関連について調査している。これら評価項目が、irCAEの早期発症の予測因子、irCAEの重症化リスク層別化因子として、臨床上有用であるかを検証するためのデータ収集が進めており、解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
状態が悪く、途中でICI治療断念され緩和治療となるケースや、画像が不明瞭なためGLS解析不能なケースも認めた。当初の予定より心筋炎のような重篤な心筋障害の発症頻度が少ないことから、心筋生検は実施できず新規バイオマーカーの探索についての計画は中止した。新たに投与前ベースライン評価のみで追跡する比較対象の収集ができた。
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今後の研究の推進方策 |
治療前段階での心疾患の有無(顕在的な異常)や潜在的なバイオマーカー、心エコーや心電図異常が、その後のirCAE発症にどのような影響を与えるかについて検討項目に追加した。またGLSと血圧より計測される Myocardial Work Indexを新たに検討項目に加え、irCAE発症や予後との関連について調査している。これら評価項目が、irCAEの早期発症の予測因子、irCAEの重症化リスク層別化因子として有用であるか、医療資源の観点から臨床上の追跡方法として適切であるかを検証する。
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