研究課題/領域番号 |
20K17125
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2023) 大阪市立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
山口 智大 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (00847478)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 慢性血栓塞栓性肺高血圧症 / 肺高血圧症 / 肺サブトラクションCT / 肺動脈サブトラクションCT / バルーン肺動脈形成術 / 肺微小循環障害 |
研究開始時の研究の概要 |
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)の治療法である肺動脈バルーン形成術(BPA)後の微小肺動脈閉塞・狭窄病変に対する客観的定量評価法が存在しないため、残存肺高血圧症や運動耐容能低下に対する治療戦略は確立してない。肺サブトラクションCT (LSIM) はヨード造影剤の肺組織浸潤を観察可能なため、微小肺血管の灌流を定量評価できる可能性がある。本研究では、CTEPH患者を対象にBPA治療前後にLSIMを撮像し、微小血管病変の客観的定量が臨床心肺機能指標と相関を検討し、運動耐容能、肺循環動態改善度の予測、およびBPA治療後に薬物療法が必要な患者を抽出する指標を確立することを目的とする。
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研究実績の概要 |
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension: CTEPH)は、肺動脈に存在する器質化血栓により肺高血圧症を来す難病である。治療法として肺動脈バルーン形成術(Balloon Pulmonary Angioplasty: BPA)の有用性は確立されているが、治療前後の微小肺動脈の閉塞・狭窄病変に対する客観的定量評価法は存在しない。本研究ではCTEPH患者を対象に治療前後に肺サブトラクションCT (Lung Subtraction Iodinemapping: LSIM) を撮像し、微小血管病変の客観的定量が臨床心肺機能指標と相関を検討し、慢性期の運動耐容能、肺循環動態改善度の予測、およびBPA治療後に薬物療法が必要な患者を抽出する指標 を確立することを目標とした。 研究開始から現在に至るまで計30名のCTEPH患者に対してLSIM撮像を行い、右心カテーテル検査における圧血行動態との相関性を検討した。LSIMにおける高度血流欠損領域の肺全体に占める割合は平均肺動脈圧や肺血管抵抗値と相関することがが確認された。また、この内容は論文化に成功した(Yamaguchi T, et al. Front Cardiovasc Med. 2023;10:1237296.)。 また、未加療時にLSIMの撮像が可能であった患者は30名であり、うち22名に対してBPAを施行した。BPAセッション終了後にLSIM撮像と運動負荷右心カテーテル検査を行った。これらの症例において、LSIMで観察される高度血流欠損領域については概ね改善傾向を辿っている。今後はこのデータを解析し、運動時の圧血行動態の変化や最大酸素摂取量とLSIMから得られたCT値との相関を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
慢性血栓塞栓性肺高血圧症は難病であり希少疾患であるため、本研究の対象となる患者数は限られる。当初の予定では45例(15例×3年)と設定したが、現時点で30名の患者に対してLSIMの撮像が可能であり、CT値と右心カテーテル検査で得られる肺血管抵抗値との相関が確認し論文化に成功ている。BPA治療終了後のLSIM撮像に関しては現時点で22名の患者で撮像が終了しており、今後解析予定である。現時点での進捗としては概ね順調と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
対象患者数は現時点では概ね順調に集積が可能であり、一部のデータは既に報告済である。今後はBPA後の患者においてLSIM撮像や運動負荷右心カテーテル検査、心肺運動負荷試験などのデータ解析を行い、文献化することを目標とする。
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