研究課題
若手研究
肺動脈性高血圧症(PAH)は原因不明に肺動脈リモデリングを生じ、右心不全から死に至る難病である。腸管から吸収された物質が肝臓に輸送されない門脈結紮モデルでは肺高血圧症病態が大幅に改善することから、PAH病態において腸-肝-肺連関が重要であると仮説を立てた。そこで肝障害モデル動物への肺高血圧負荷やPAH患者検体を通じて、PAHの新規病態形成機序を探索する。
肺高血圧症は、遺伝的素因、膠原病、短絡性心疾患、肝障害など様々な背景疾患と関連して肺動脈にリモデリングを生じる。肺動脈リモデリングの機序は未だ不明だが、何らかの背景疾患に共通した経路で障害を受けて肺高血圧症病態を形成していると考えられている。肝臓は、多臓器と密接に連関する人体最大の臓器で、肺高血圧症でも重要な役割を果たしている報告もあり、詳細は不明だが、肝臓を中心とした「肺ー肝ー腸相関」が存在する可能性がある。本研究では、モデル動物の肝臓RNAシークエンス解析と肺高血圧症患者検体の網羅的な解析を通じて、肝臓における保護遺伝子Xが肺高血圧症で重要な働きをすることを明らかにした。
本研究成果により、肝臓は肺高血圧症の病態形成機構の中でも重要な役割を果たしていることが裏づけられた。特に遺伝子Xは、肝臓での代謝関連する、肺高血圧症の保護的遺伝子であることを見出した。これにより近年注目を集める門脈圧亢進に伴う肺高血圧症を中心として肺高血圧症全般の新たなバイオマーカーや治療法開発につながる可能性がある。
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