研究課題/領域番号 |
20K17145
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加藤 勝洋 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10841950)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 肺高血圧症 / 血管内皮細胞 / 多様性 / 次世代シークエンス |
研究開始時の研究の概要 |
肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、肺血管拡張療法の開発により患者予後は以前より改善したものの、治療が奏功しない症例も多く、新規治療薬および診断バイオマーカーの開発が急務である。PAHにおいて末梢側の肺細動脈で異常を示すメカニズムは明らかにされておらず、ここへアプローチすることで肺細動脈内皮細胞を標的とした精密医療・診断法の開発につながると考えられる。本研究では、肺高血圧症モデルマウスより肺細動脈内皮細胞を単離し、次世代シークエンスを用いて発現変動遺伝子を網羅的に探索し、培養細胞および疾患モデル動物で検証し、分子基盤を構築することで、診断・治療方法の新たな開発を目指す。
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研究実績の概要 |
肺高血圧症の主病変部である肺細動脈局所のシグナル異常に関して、依然として不明な点が多く、病態解明のためにはその異常を明らかにすることが必要不可欠である。本研究課題では、病態に関与する肺高血圧症の主病変部である肺細動脈内皮細胞を、独自に開発した方法を用いて単離し解析することで病因を明らかにし、病態解明のみならず肺高血圧症へ対するバイオマーカーの開発や新規治療戦略の開発につなげることを目的としている。現時点で以下のような実験の結果を得ている。 1、低酸素負荷誘発性肺高血圧モデルマウス及び正常圧下で飼育したマウスの両者より肺細動脈内皮細胞を単離し、RNAを抽出後に次世代シークエンサーを用いて遺伝子発現量解析を行い比較検討した。解析の結果、1000種類以上の遺伝子が有意に差次的に発現していることが明らかとなった。 2、差次的に発現を示す遺伝子に関して、パスウェイ解析やGene Ontology解析を行ったところ、細胞間接着、細胞外基質や血管新生に関与する分子が発現変動していることが明らかとなり、これらの分子が肺高血圧症の病態形成に関与していることが示唆された。 3、解析より得られた候補分子に関して、低酸素負荷誘発性肺高血圧モデルマウス及び正常圧下で飼育したマウスから取り出した肺組織を用いて、免疫組織染色を行い発現量の評価を行なった。遺伝子発現量解析の結果と免疫組織染色の結果を比較検討して、候補分子の更なる選別を行なった。 4、培養肺動脈内皮細胞を低酸素曝露やHIFシグナルを活性化したところ、候補分子の1つは有意な発現低下を認めたのに対して、他の2つは有意な変化は認めなかった。 5、候補分子の内、2種類の遺伝子に関して遺伝子欠損マウスの作製を進め、1つは完成し解析を進めている。また、アデノ随伴ウイルスを用いた遺伝子修飾の系も並行して行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、培養肺動脈内皮細胞を用いて候補分子の発現を制御するメカニズムについての評価を進めている。さらに個体での遺伝子の影響を評価するために、候補遺伝子に対する遺伝子欠損マウスの開発を進めているが、確立するのに予想以上に時間を要している。これらの到達度は当初の研究計画の予定を考えるとやや遅延していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、培養肺動脈内皮細胞を用いて候補分子を中心とした細胞内シグナル伝達への修飾作用について評価を進める。作製した遺伝子欠損マウスの個体での解析を進める。さらに並行して行っているアデノ随伴ウイルスベクターを用いての機能解析を行う。
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