研究課題/領域番号 |
20K17165
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 明治国際医療大学 |
研究代表者 |
足立 孝臣 明治国際医療大学, 臨床医学講座, 准教授 (20637277)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | miR-335 / 血管内皮細胞 / 大動脈 / CHFR / 動脈硬化 / RNAシークエンシング / マイクロRNA |
研究開始時の研究の概要 |
動脈硬化は,虚血性心疾患や脳梗塞の原因となり,重要な健康問題である.申請者は,動脈硬化の標準薬であるスタチンが、血管内皮細胞microRNAを制御し,動脈硬化抑制に寄与すると仮説を立て,既に、miR-335がスタチンにより負に制御されることを明らかにしている.そこで本研究では,miR-335を負に制御することで,動脈硬化を抑止することを目的とする.これにより,スタチンによる血管内皮細胞microRNAの制御が,動脈硬化抑制に寄与することを証明し,かつ,血管内皮細胞microRNAを標的とした,動脈硬化に対する新しい核酸医療を開発することが期待される.
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研究実績の概要 |
本研究は、動脈硬化モデルマウスにおいて、miR-335を負に制御することで動脈硬化を抑止することを目的とする。これを明らかにするために、今年度はmiR-335 inhibitorを用いて動脈硬化を抑止することに取り組んだ。miR-335 inhibitorは、miR-335に対する相補鎖オリゴヌクレオチドである。これを血管内皮細胞特異的に輸送するため、研究協力者より供与される7C1nanoparticleを用いてマウスに投与した。動脈硬化モデルとしては、4週間の高脂肪食に加え、アンギオテンシンⅡ皮下持続投与を行う方法を採用した。治療介入は、週一回、尾静脈注射にてinhibitorの投与を行った。7C1nanoparticleの性能を確認するため、Cy5.5をnanoparticleに取り込ませたものを投与し、大動脈のフローサイトメトリーを行ったところ、血管内皮細胞への良好な取り込みを確認した。介入期間終了後、昨年度と同様に動脈硬化を評価したところ、血管内皮細胞特異的なmiR-335抑制環境において、Oil red O染色による大動脈動脈硬化病変の減少、ならびに大動脈弁HE染色における動脈硬化病変の減少を有意に認めた。また動脈硬化巣の免疫染色により、miR-335抑制環境においてマクロファージの有意な減少を認めた。 加えて、血管内皮細胞において、昨年度同定したmiR-335の標的遺伝子であるCHFRを抑制しフローサイトメトリーならびにウェスタンブロッティングを行ったところ、miR-335過剰発現と同様に、血管内皮細胞の炎症を惹起することを発見した。さらに、血管内皮細胞に対しCHFRプラスミドを導入することにより、miR-335過剰発現によって惹起した炎症を抑制することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は、新型コロナウイルス感染症が5類に変更されたことによる影響で、附属病院における診療業務が昨年と比べて大幅に増加し、基礎研究を行う時間が大幅に削減された。また、米国の研究協力者との連絡に不具合があり、miR-335 inhibitorの入手に大きく手間取り、実験の遂行が遅れた。現在、論文化に向けて十分な実験個体数を得るため実験を遂行している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、本研究の結果をまとめて論文化するために十分な実験個体数を得るため、過去3年間に行った実験を見直し不足分を順次遂行している。特にmiR-335 inhibitorを用いた実験は、実験個体数が不足しており引き続き行う。
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