研究課題/領域番号 |
20K17170
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53020:循環器内科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
天野 雅史 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (10826134)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | Energy loss / Wall share stress / Contractile reserve / Aortic regurgitation / Kinetic Energy / Vector flow mapping / 運動負荷心エコー図検査 / Kinetic energy / Vector Flow mapping / 心エコー図検査 / 弁膜症 / 心筋症 |
研究開始時の研究の概要 |
従来の心エコードプラ法では心腔内血流の流速評価は可能だが、血流自体を評価できない。近年、心血管内の血行動態を可視化するVector Flow mappingを用いて左室内腔の渦流やエネルギー損失を可視化することで、左室心筋に対するストレスや異常な渦流の存在を検証可能となった。一方、弁膜症・心筋症に対する運動負荷心エコー図検査の有用性が報告されているが、運動負荷前後の血行動態や血流の変化、心筋に対するストレス変化を正確に評価することが難しく、陽性基準が統一されない一因である。本研究は、VFMを運動負荷心エコー図検査に応用し新たな評価基準を作成し、弁膜症・心筋症における病態解明に繋がるものである。
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研究実績の概要 |
重症大動脈弁逆流症症例に対して運動負荷心エコー図検査を施行した44例に関して、左室収縮予備能(ピーク運動時EF-安静時EF >5%)の有無によって収縮予備能あり(LVCR (+): 12例)と収縮予備能なし(LVCR (-): 32例)にわけ、運動前後におけるEnergy loss(EL)とWall share stress(WSS)の推移を比較した。Vectorf low mapping解析(ELとWSS)は、安静時・低負荷時・ピーク時にわけて解析した。 安静時、ELはLVCR(+)群とLVCR(-)群で有意差はなかった(p=0.31)。運動中のELは、LVCR(+)群よりLVCR(-)群で有意に高かった(低負荷:p=0.015;ピーク:p=0.027]。WSSは、運動の有無に関係なく、LVCR群とLVCR(-)群で差は認めなかった。さらに、低負荷時のEL値でLVCR(-)を予測し得ることがわかった。(odds ratio 1.18; 95% confidential interval: 1.02-1.37; p=0.025) 結論として、慢性AR患者では、LVCR(-)群でLVCR(+)群と比べ運動中のELが増加する傾向にあった。LVCR(-)では、運動中に乱流などによるエネルギー損失(EL)が発生し、より左室収縮障害が悪化し、さらにELが上昇する悪循環が生じていることが示唆された。 以上の内容を論文としてまとめ、現在校正段階にまで至っている。さらに、本研究結果を2024年日本心エコー図学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日常臨床で取得した心エコー図検査動画を用いてVector flow mapping計測が可能である解析ソフト・Echo VFM並びにIVPG(Cardio flow社)を購入し、GE社製の心エコー装置で取得した画像からVector flow mappingが計測できる体制を整えた。運動負荷はGE社製E95を用いて施行しており、運動負荷施行症例の画像は全て解析できる状況となった。 次に、運動中のVector flow mappingに関するデータはこれまでないため、まずは研究責任者並びに共同研究者による健常ータの取得並びに解析を行なった。13名の健常でデータから、安静時・低負荷時・ピーク時における各自相におけるEnergy loss(EL)・Wall share stress (WSS)値を算出し、それぞれの平均値並びに最大値を算出した。同時に運動負荷中のデータとして、左室global longitudinal strain・左房reservoir strain・右室free wall strain値も算出し、EL・WSS値と共にデータとして用いることができる状況を整えた。 VFMが一番有用と思われる弁膜症である大動脈弁逆流症に対して、予後につながるとされる左室Contractile reserve (CR)の有無によるEL/WSSの推移に関して研究し、結果を学会発表・論文作成にまで至っている。 一方、途中コロナウイルスの影響で患者登録スピードが鈍ったため、最終論文をアクセプトされるにまで至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
現在論文が校正段階であるため、最終的に提出・アクセプトまでを次年度中に完了させる予定である。
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