研究課題
若手研究
非小細胞肺癌の薬物療法の治療成績は分子標的薬に代表される新規薬物の登場により著しく改善してきたが、治療中に薬剤獲得耐性が必ず生じるため、根治は困難である。ミトコンドリア経路を介したアポトーシスにおいてはBCL-2ファミリータンパク質が重要な役割を果たすことが知られており、アポトーシス誘導因子BIMの転写因子であるFOXO3aが薬剤獲得耐性に重要な役割を果たす可能性が示唆されている。作成した各種薬剤耐性細胞株を用いて、FOXO3aとBIMに着目した遺伝子発現解析・タンパク発現解析等の詳細な機能解析を行い、ゼノグラフトマウスモデルと臨床検体で検証を加え、根治を目的とした新規薬物療法戦略を提案する。
【背景】肺癌の薬物治療において分子標的治療は劇的な効果を示すが、その薬剤獲得耐性が問題である。ミトコンドリア経路を介したアポトーシスでは、BCL-2ファミリータンパク質が重要な役割を果たすことが知られているが、がん細胞に対する分子標的治療のアポトーシスの誘導メカニズムと薬剤獲得耐性化における分子病態は不明である。【目的】本研究は、アポトーシスに着目した新しい視点から、肺癌において分子標的薬剤の獲得耐性の分子病態メカニズムを解明し、根治を目指す新規薬物療法を開発することが目的とした。【方法と結果】EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌細胞株4種類(PC9、H1975、HCC827、H1650)を用いて、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤であるオシメルチニブの薬剤耐性細胞をステップワイズ法を用いて作成した。作成した耐性細胞を用いて、Cell viability assayにて薬剤感受性・IC50を計算し、オシメルチニブに対する耐性化を確認した。親細胞株と耐性細胞を用いて、ERK、FOXO3a、BIMを含むアポトーシス関連因子の発現を主にウェスタンブロットを用いて確認した。全ての耐性細胞でリン酸化ERKの発現が有意に上昇していることを確認し、一部の耐性細胞では、リン酸化FOXO3aが核外(細胞質)へ移行してMDM2によるユビキチン化により分解され、FOXO3aの転写活性が抑制されることで、 BIMの発現が低下し、アポトーシス抵抗性となることを確認し、FOXO3aの核外への移行は、免疫蛍光染色法を用いて確認した。耐性細胞に対するFOXO3a阻害作用のあるカルシノン酸、ERK阻害剤、プロテアソーム阻害剤(ボルテゾミブ)の効果を確認し、新規治療法の最終報告について、学会発表準備・論文作成中である。
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