研究課題/領域番号 |
20K17202
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
田原 正浩 産業医科大学, 医学部, 助教 (30812846)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 薬剤性肺炎 / 免疫チェックポイント阻害薬 / PD-1 / Tim-3 |
研究開始時の研究の概要 |
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)による免疫関連有害事象うち、がん免疫療法関連薬剤性肺炎(ICI肺炎)は重要な課題である。我々は、ICI肺炎患者の気管支肺胞洗浄液に、高い細胞傷害能をもつT細胞であるPD-1とTim-3を共発現したCD8陽性T細胞(CD8+PD-1+Tim-3+Tcell)が増加していることを見出した。本研究では、ICI肺炎患者の気管支肺胞洗浄液と肺実質から採取したCD8+PD-1+Tim-3+Tcellを含めた各種細胞の遺伝子解析と増加したサイトカインの同定を行う。そして、ICI肺炎の発症機序を解明し、同定したサイトカインを標的とした新しい治療法の開発に繋げる。
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研究成果の概要 |
本研究では、ICI肺炎を含む薬剤性肺炎が疑われる患者を対象に、診断のため気管支肺胞洗浄を行い、病変部から採取した洗浄液や経気管支肺生検により、肺実質中のリンパ球の表面マーカーや各種サイトカインを網羅的に測定しました。ICI肺炎群では、気管支肺胞洗浄液中のCD8陽性T細胞のPD-1、Tim-3発現率及び両者の共発現率が、通常の抗がん剤による肺炎群と比べて有意に上昇していました。PD-1とTim-3を共発現するCD8陽性T細胞は、免疫チェックポイント阻害薬による薬剤性肺炎において重要な役割を担っている可能性が示されました。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がん治療において、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は、がん細胞の免疫逃避を防ぎ、体の防御機構を効果的に活性化します。しかし、この治療には副作用として薬剤性肺炎があります。我々の研究では、この肺炎発症における免疫細胞の役割を明らかにし、副作用の治療法を改善することを目指しました。その結果、PD-1とTim-3という特殊なマーカーを発現する免疫細胞が薬剤性肺炎の発症に深く関わっていることが判明しました。この研究から見出されたマーカーは、ICIによる薬剤性肺炎の新たな治療戦略への可能性を示し、より安全ながん治療の実現を通じての社会貢献が期待されます。
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