研究課題
若手研究
重症喘息において増悪を繰り返す病型の存在が報告されているが、増悪の抑制は喘息の治療における重要課題であり、その予測が重要である。申請者らは、重症喘息患者における頻回増悪と2型気道炎症との関連性について報告した。一方で、2型気道炎症のメカニズムは多様であり、様々なバイオマーカーの関与が予想される。本研究では、血液、喀痰などの検体におけるバイオマーカーの表現型(エンドタイプ)と増悪の状況を調べ、そのバイオマーカーをターゲットとした新規治療の開発へ繋げることが最終的な目的である。
喫煙者を含む、前向き6年間の難治性喘息コホート研究のデータを用いて種々の解析を行った。特に、血液、喀痰、尿中のサイトカインの表現型であるエンドタイプと、増悪の状況との関連性について着目したが、現在のところ有力な結果は得られておらず、今後も解析を継続したい。一方で、末梢血好酸球数高値、好酸球性の気道炎症を反映する呼気中一酸化窒素高値、アトピー素因陽性、の3項目が揃うと、頻回に増悪することが示された。また、呼気中一酸化窒素に関しては、変動が大きいと初回増悪までの期間が短かった。
本研究では喫煙者を含む集団を対象として、より実臨床を反映している質の高いコホート研究である。吸入ステロイド薬の普及により、多くの喘息患者のコントロールは良くなったが、治療が難しい「難治性喘息」の患者をどのように診療するかは、今なお多くの問題が残っている。難治性喘息患者の中でも、増悪を繰り返しやすい群が存在することがわかってきた。本研究結果からは、この対象を早期に見つけ出して介入することに繋がると考えられる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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