研究課題/領域番号 |
20K17221
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
西村 知子 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (70812353)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 特発性肺線維症 / IGF-1 / 線維芽細胞巣 / fibroblastic foci / 特発性間質性肺炎 |
研究開始時の研究の概要 |
特発性肺線維症(IPF)は予後不良な進行性難治性疾患で、有効な治療手段は確立されていない。病理学的特徴である線維芽細胞巣(Fibroblastic foci)はIPFの活動性や進行と関連するとされるが、機序は解明されていない。申請者はFibroblastic foci形成機序の解明がIPFの病態解明につながると考え、IPF患者由来の肺線維芽細胞を解析し、線維化領域の細胞でインスリン様成長因子(IGF-1)の発現亢進を見出した。本研究では肺線維芽細胞のIGF-1発現亢進との関連から、Fibroblastic foci形成機構の解明につなげる。
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研究成果の概要 |
特発性肺線維症(IPF)は予後不良な進行性難治性疾患である。本研究では、IPF患者の肺組織の遺伝子解析を行い、線維芽細胞巣形成に関与する因子、及びその発現調整機構の解明を目指した。線維芽細胞巣が形成される線維化部の線維芽細胞で選択的にIGF-1の発現が亢進すること、IGF-1と線維化マーカーは正の相関を示すこと、が明らかとなった。またIGF-1の産生は線維化の中心分子であるTGF-β依存性であること、IGF-1シグナルによって制御される因子としてCalmodulin-1を見出した。以上の結果からIGF-1は線維芽細胞巣の形成に深く関与しており、その分子機序の一端が明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、IPF患者と健常者との比較ではなく、同一IPF患者内の線維化部と非線維化部の組織および細胞の遺伝子発現を比較することにより、遺伝的なバックグラウンドの影響を排除し、真に線維芽細胞巣の形成、ひいては線維化に関与する因子を探索したものである。我々は、その重要な因子としてIGF-1を同定し、さらに発現誘導機序ならびにIGF-1の下流因子を示したことで、未解明な点が多く残されている線維芽細胞巣形成の分子機序の一端を明らかにした。また、IPFは難治性かつ進行性で、診断からの余命は平均数年で有効な治療法がないが、IGF-1がIPFに対する新たな治療ターゲットとなり得ることを示した。
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