研究課題/領域番号 |
20K17230
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
戸根 一哉 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70867423)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | MelLec / 喘息 / 内皮細胞 / DHNメラニン / 共刺激分子 / CD86 / 樹状細胞 / アスペルギルス / C型レクチン受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
難治性慢性気道疾患である喘息の病態解明と新規治療薬の開発は喫緊の課題である。近年発見されたメラニン感知型C型レクチン受容体(MelLec)は真菌特異的DHNメラニンを認識し、侵襲性アスペルギルス症の防御に重要な役割を果たす。アスペルギルスは喘息発症に関わる重要なアレルゲンでもあることから、喘息病態におけるMelLecの役割を動物実験で検証した。その結果、MelLecが喘息難治化因子として注目されているTh17応答および好中球性気道炎症を誘導することを明らかにした。本研究は、MelLecの更なる機能解析と喘息病態への関与を、臨床検体を用いて明らかにし、新たな喘息治療標的の発見を目指す。
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研究実績の概要 |
難治性慢性気道疾患である喘息の病態解明と新規治療薬の開発は喫緊の課題である。研究代表者はこれまでにMelLecノックアウトマウスを用いた喘息モデルを用いて、MelLecがAspergillus fumigatusのDHNメラニン認識を介してTh17応答を誘導し、好中球性気道炎症を惹起し、喘息病態を悪化させ得ることを見出した。しかしながら、Th17応答誘導メカニズムは明らかとなっておらず、ヒトにおけるMelLecの役割も未解明である。研究代表者はMelLec喘息マウスモデルで樹状細胞と、MelLecを発現する内皮細胞上の共刺激分子を解析した。その結果、肺内の樹状細胞上のCD80/86, OX40L, PD-L1の発現は野生型マウスとMelLecノックアウトマウスで差が認められなかった。今後、樹状細胞のサブタイプを詳細に解析し、抗原提示からエフェクターTh17細胞の活性化までのメカニズムを明らかにする必要がある。一方で、興味深いことに、CD31陽性内皮細胞上のCD86の発現が野生型群で有意に増強している結果を得た。本結果から、マウスのMelLecを介したTh17応答誘導において、内皮細胞上のCD86が関与している可能性が示唆され、今後樹状細胞とMelLecを発現する内皮細胞の相互関係を解析する予定である。また、ヒトにおけるMelLecの役割を明らかにするために、ヒトMelLec特異的モノクローナル抗体と初代培養細胞を用いて検討を行った。その結果、マウスと同様に、ヒトMelLecは内皮細胞に広く発現しており、CD45陽性骨髄系細胞表面には発現していないことを見出した。現在ヒトの肺組織検体を用いてMelLecの特性、役割について評価している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
想定していたよりも、実験に必要な試薬、細胞の入手に時間を要したため研究が遅れていたが、MelLec形質転換NIH3T3細胞、抗MelLec抗体を用いた予備実験が終了した。現在ヒトの肺切除検体を用いた実験を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトの肺切除検体と共焦点レーザー走査型顕微鏡 FV3000システム(オリンパス社)を用いてMelLecを発現する細胞の特定と、MelLecがどのようにDHNメラニンを認識し機能を果たすのか、解析を行う。また、MelLecの喘息病態への関与を明らかにするために、喘息合併と非合併例の肺癌等の肺手術残余検体と末梢血を用いて、MelLecの遺伝子多型と、表現型および発現量をRNA、タンパクレベルで比較検討する。
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