研究課題/領域番号 |
20K17238
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53030:呼吸器内科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
榎本 泰典 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (90865297)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 肺線維症 / 肺胞オルガノイド / 組織幹細胞 / 細胞老化 |
研究開始時の研究の概要 |
肺線維症は加齢に伴い増加する疾患であり、その病態には細胞老化の関与が想定されているが、いまだ本質的な分子病態の解明に至っていない。近年開発された肺胞オルガノイドは、肺胞上皮幹細胞を三次元培養して肺胞様組織を作成する技術であり、これによりin vivoでは難しい肺胞単位の刺激や観察が可能となる。この肺胞オルガノイドに細胞老化を誘導し、老化した肺胞上皮が間質の線維化を誘導する機序を明らかにする。また肺胞上皮特異的に細胞老化を抑制する遺伝子改変マウスを作成し、実際に肺の線維化が抑制されることを示す。さらに、肺胞上皮老化を抑制し得る化合物のスクリーニング実験系を構築し、肺線維症の新規薬剤探索を試みる。
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研究成果の概要 |
肺線維症の発症の起点として肺胞上皮傷害や細胞老化の関与が想定されているが、いまだ分子病態の解明が進んでいない。 本研究では、Ⅱ型肺胞上皮細胞(AT2)を用いて肺胞オルガノイドを作成し、これと初代肺線維芽細胞を共培養することで、線維化の主役である筋線維芽細胞への分化を評価する、新たな肺線維症モデルを確立した。このモデルを用いることで、DNAダメージを受けp53シグナルを高発現したAT2が、TGFβを産生して筋線維芽細胞を直接分化誘導すること、さらにオートクラインによりその作用が増強されることが明らかとなった。またこれらの結果はヒトAT2を用いた実験でも再現されることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
肺線維症は予後不良な難治性肺疾患である。従来の肺線維症治療薬は、線維芽細胞を主たる治療標的としており、また効果の面では残念ながら進行の抑制までしか成しえていない。 本研究では、本症の発症起点と考えられている肺胞上皮傷害に着目し、in vitroの肺線維症モデルを確立することで、病態のさらなる解明に迫った。研究結果は、既存薬ではアプローチできていない新規治療標的を示唆するものであり、今後の新薬開発への発展が期待される。
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