研究課題/領域番号 |
20K17240
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
橘内 博哉 旭川医科大学, 大学病院, 助教 (00548638)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 糖尿病腎症 / MRI拡散強調画像法 |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病腎症の診断および進展評価に対する画像評価法については、これまで複数の検討がされているが、いまだ確立された評価法はなく、糖尿病の病態・合併症に対する非侵襲的評価法の確立を掲げ、尿アルブミンに替わる糖尿病腎症診断法の開発が望まれている。本研究では、糖尿病群、高血圧群、正常対照群においてMRI拡散強調画像を用いて腎を撮影し、組織変性を示すと考えられるApparent diffusion coefficient(ADC)値を比較、また、ADC値と臨床指標との相関を検討し、高血圧性腎硬化症から独立した糖尿病腎症特異的画像診断法としてのMRI拡散強調画像法を確立する。
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研究実績の概要 |
【目的】糖尿病腎症における腎障害の評価は、尿アルブミンなどの生化学検査で行われており、確診的情報量に富む腎生検法は煩雑であり侵襲性が高い。MRI拡散強調画像法における見かけの拡散係数(apparent diffusion coefficient; ADC)は腎症の進行度評価に有効であると考えられ、糖尿病腎症特異的診断法としてのMRI拡散強調画像法の可能性について検討した。 【方法】腹部MRI拡散強調画像(Diffusion weighted image; DWI)を、日立製作所中央研究所において開発された解析プログラムを用いて腎ADC値を算出し、各臨床指標との相関を検討した。また3D画像ソフトウェアAmiraを用いて腎容積を算出した。 【結果】1.ADC(b=700)値は、Control群 131.6±2.40、HT群 132.0±1.68, DM群 129.1±1.84とDM群で低値を呈した(p<0.001) 。2.DM群では、ADC(b=700)値はCr(r=-0.38, p<0.05) 、CysC(r=-0.51, p<0.01) 、ACR (r=-0.46, p<0.05)と有意な相関を認めた。3.HT群では、ADC(b=700)値はいずれの指標とも相関を認めなかった。4.ステップワイズ法による重回帰分析の結果、log(ACR)がADC(b=700)値を予測する唯一の独立変数であった。5.DM群で腎容積の増大を認めたが、腎指標との相関は認めなかった。 【結論】糖尿病患者のMRI拡散強調画像解析において、ADC(b=700)は正常対照群および高血圧患者と比較して低値を呈した。またADC(b=700)値は糖尿病患者において腎機能指標と有意な相関を認めたが、高血圧患者において相関は認めなかった。よって、糖尿病特異的腎症診断法としてのMRI拡散強調画像法の可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の目標症例数は、糖尿病群 40症例、高血圧群 10症例、正常対照群 10症例で計画している。また、腎生検組織との比較も行う計画であった。2020年度以降は、新型コロナウィルス感染症流行により、外来・入院診療の縮小を余儀なくされ、また臨床研究ボランティアの参加辞退が相次いだことから症例の収集に難渋し、遅れをきたしている。しかしながら、糖尿病腎症診断におけるMRI拡散強調画像法の有用性について有効な結果が得られていると考えられ、現在まで得られた結果を、日本糖尿病学会年次学術集会や、日本糖尿病合併症学会、ADA scientific sessionsにて発表した。また、現在論文作成中であり、近日投稿を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
MRI拡散強調画像法における腎ADC値が、糖尿病症例にて低値を呈し、糖尿病腎症の進行の経過にてさらに低値を呈することが示されている。現在までのデータについて論文を作成中であり、近日投稿を予定している。
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