研究課題/領域番号 |
20K17252
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53040:腎臓内科学関連
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
水口 建 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (30814511)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 腎尿細管スフェロイド / 3次元培養 / Na輸送体 / アミノ酸輸送 / 虚血再灌流障害 / 低酸素 / Na輸送 / 3次元培養 / RNAシークエンス解析 / 細胞極性 / 腎臓発生 / 高血圧 / 腎尿細管 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国の高血圧有病者数は約4300万人と推定されており、高血圧の検査や治療にさらなる進展が望まれている。しかし高血圧の発症機序は環境・遺伝因子が複雑に絡むため、いまだ不詳な点が多い。これまで申請者らは腎臓におけるNa (ナトリウム) 排泄の調節異常に着目して高血圧の病態を研究してきた。そこで本研究では高血圧の発症機序を調べるため、腎尿細管でのNa排泄に着目した。そして腎尿細管細胞のNa輸送体を深く調べるため、従来の2次元培養ではなく3次元培養を用いた独自の実験モデルによる研究を計画した。より生体内の環境に近い3次元培養の利点を活かし、Na輸送体の分子制御機構から高血圧の発症機序の解明を目指す。
|
研究実績の概要 |
これまでの研究でHK-2細胞を3次元培養することによりヒト近位尿細管の実験モデルを確立するという目標を達成することができた。HK-2細胞の3次元培養モデルでは2次元培養モデルと比較してNa輸送能が活性化していること、細胞内の遊離アミノ酸濃度が上昇していることが分かった。過去に実施したRNAシークエンス解析の結果からNa/アミノ酸輸送体であるSLC6A15がその一部を担っているのではないかと考えて、SLC6A15に対してRNA干渉の実験を開始した。しかし、3D培養したHK-2細胞では十分なノックダウン効率を得ることができなかった。一方、2022年度では本実験モデルを他の研究に活かすことはできないかと考えて、虚血再灌流障害モデルとしての使用可能性について検討した。その結果、2Dならびに3D培養したHK-2細胞では、低酸素環境下で培養することによりHIF-1αの発現を免疫蛍光染色やウェスタンブロット法で確認できた。また、通常酸素環境下に戻すことにより細胞死が起きることも確認することができた。興味深いことに3D培養では2D培養と比較して虚血再灌流後の細胞死が少ない傾向が認められ、低酸素ストレスに対する防御機構が新たに存在するのではないかと考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HK-2細胞は3D培養することで2D培養よりも低酸素ストレスに対して防御機構を再び有するのではないかと考えた。まず酸化ストレス防御機構を具体的に調べるため、カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターぜ(SOD)、グルタチオンに着目して各種の酸化ストレスマーカーを測定した。カタラーゼとSODに関しては3D培養で大きな変化を認められなかったが、グルタチオン濃度は3D培養で大きく上昇を認めた。続いて低酸素ストレスによって発生する活性酸素(ROS)を調べるために、HK-2細胞を低酸素培養したのち通常酸素に戻し、ROS-Glo H2O2 assayを用いて測定した。しかし、2D培養群と3D培養群、低酸素群とコントロール群、バックグラウンドいずれにおいても発光シグナルを得ることができなかった。ROS測定のための測定条件を設定することに難渋している。
|
今後の研究の推進方策 |
3D培養することによりHK-2細胞はグルタチオンという酸化ストレス防御機構を再び有する可能性が考えられた。この点に着目してさらに虚血再灌流障害モデルとして深く調べていきたい。一方で今年度はROS-Glo assayでROSを測定することができなかった。引き続き測定条件を検討するとともに、測定方法や測定対象についても考え直す必要がある。
|