研究課題/領域番号 |
20K17320
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
村山 直也 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (60835213)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 無汗症 / AIGA / 熱中症 / 嗅覚受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
特発性後天性全身性無汗症(acquired idiopathic generalized anhidorosis: AIGA)は明らかな原因なく全身の発汗低下を生じる疾患である。患者は発汗による体温調節ができないため、暑熱環境にいられない、運動ができない、熱中症になりやすいなど、日常生活に大きな支障をきたす。治療はステロイドパルス療法などが経験的に行われているに過ぎない。一部で効果的な症例があるものの、再発を繰り返し、病勢制御に難渋する症例を多く経験する。この疾患の発症機序を解明し、AIGAだけでなく、他の発汗異常症(多汗症)に対する効果的な治療法の解明につなげたい。
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研究成果の概要 |
特発性後天性全身性無汗症は原因なく全身の発汗を低下させ、発汗による体温調節を障害し、患者のQOLを大きく損なう難治疾患である。 我々は無汗症患者の汗腺組織の遺伝子発現を比較し、嗅覚受容体が患者の発汗部で増加し、無汗部で減少していることを発見した。さらに嗅覚受容体への作用がヒトの発汗に影響を与えることを健常者の発汗試験で確認した。そして試験管内での検討として、嗅覚受容体遺伝子を導入した培養細胞に、嗅覚受容体の作用物質を反応させたところ、活性が示された。これらの結果は、嗅覚受容体を介して発汗の制御ができる可能性を示唆しており、無汗症の治療開発や熱中症の予防に大きく貢献できると考えられる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
我々は無汗症患者の発汗部と無汗部の遺伝子検査の結果から「嗅覚受容体」の発現を確認した。健常被験者を対象とした発汗試験や、試験管内の細胞実験で嗅覚受容体を活性化させる物質を投与することで発汗を促進あるいは抑制できる結果を得た。追加の検証として、嗅覚受容体やリガンドの構造から、より活性の強い物質の検索を行っている。これらの結果は難病である無汗症の病態解明や治療開発に加え、近年世界的な社会問題となっている地球温暖化や熱中症の対策の一助となることが期待される。
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