研究課題/領域番号 |
20K17327
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
鹿毛 まどか 城西大学, 薬学部, 助教 (40776324)
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研究期間 (年度) |
2021-02-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 皮膚バリア機能 / アトピー性皮膚炎 / 乾癬 / ヒアルロン酸オリゴ糖 |
研究開始時の研究の概要 |
皮膚バリア障害はアトピー性皮膚炎や乾癬を始めとする様々な皮膚疾患の発症要因になるが、効率的・効果的な治療薬はなく、皮膚バリアの強化にはスキンケアによる保湿が重要とされている。申請者はこれまでに、四糖ヒアルロン酸オリゴ糖(HA4)は受動拡散で皮膚を透過し、皮膚適用で紫外線照射により損傷した皮膚バリアを修復すること、またそのメカニズムを明らかにしている。皮膚バリア機能が回復するということは、HA4はアトピー性皮膚炎や乾癬といった皮膚病態の皮膚バリア障害を改善することができるのではと考えた。そこで本研究では皮膚病態モデルにおけるHA4の皮膚バリア機能への影響を明らかにすることを目指す。
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研究実績の概要 |
本課題では四糖ヒアルロン酸オリゴ糖(HA4)の皮膚疾患に対する有効性を評価している。当該年度は、HA4の病態モデルマウスへの皮膚適用における皮膚機能改善メカニズムを、動物と細胞を用いて評価した。 HR-AD給餌によるアトピー性皮膚炎モデルマウスへHA4を塗布することで、角層水分量の低下を抑制する。このメカニズムの解明で、皮膚分保持に関与するセラミドおよび天然保湿因子(MNF)を定量し、評価した。その結果、HR-AD食を食餌することでNMFおよびセラミド量ともに有意に減少し、HA4を塗布することでこれらの減少は抑えられ、有意に増加した。HA4はケラチノサイト分化を誘導し、フィラグリン産生を増加させることを報告している。このことから、HA4塗布による角層水分量の低下抑制は、フィラグリンの代謝によって産生されるNMFが増加した可能性が推察される。HA4塗布により角層中NMF(遊離アミノ酸)量が有意に増加していた。また、HA4塗布によりセラミド量も有意に増加し、これらの結果より、HA4はアトピー性皮膚炎の皮膚機能改善効果があることが示唆された。今後、さらなる詳細なメカニズムの解明を目指す。 また、イミキミド塗布における乾癬モデルマウスでは、HA4を塗布することでりControl群(溶媒塗布群)と比べて経表皮水分蒸散量(TEWL)の上昇遅延と表皮肥厚の軽減が認められている。細胞実験において、インターロイキン(IL)-17A、TNF-α、IL-1α、IL-22、OncostatinMの混合液(M5)を添加することで乾癬様炎症を惹起できると報告があり、M5刺激によるHA4添加による炎症に対する効果を評価したところ、炎症を抑える傾向があることが明らかとなった。今後、さらなるメカニズム解明のため、動物および細胞を用いて検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
方法の最適化の検討に時間を要している。 動物による評価はおおむね順調に進んでいるが、細胞における評価において、論文を参考に進めているが、一般的な方法では効果が芳しくなく、条件検討に時間がかかっている。HA4は生体分子であるため効果がマイルドであり、病態の悪化予防には効果がありそうだが、治療は難しいことがわかってきた。 また、育児との両立により研究時間が限られており、思うように進められていないのが現状だが、家族の協力のもと研究時間を少しずつ確保して進めている。
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今後の研究の推進方策 |
HA4のアトピー性皮膚炎への効果では、角層水分量低下抑制のメカニズム解明を行う。具体的には、HA4によりセラミドおよびNMF量が増加したことから、それらの産生に関与する酵素、例えばセラミド産生の律速酵素であるセリンパルミトイルトランスフェラーゼ、NMF産生の最終段階に関与するブレアマイシン水解酵素の発現や活性への影響を評価する。また、表皮細胞を用いてアトピー性皮膚炎様状態を再現し、炎症に対する効果をリアルタイムPCRおよびELISA法を用いて評価する。 HA4の乾癬への効果では、HA4により症状悪化を遅延させるメカニズム解析を行う。具体的には、表皮細胞の増殖/分化スイッチ評価として、例えば増殖細胞に発現するKi67発現細胞を免疫染色により評価する。また、昨年度に引き続き、表皮細胞での抗炎症作用の評価で、さらなる条件検討を実施する。
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